お客様事例|カシオ計算機株式会社
業務プロセス改革実現の鍵は、Box RelayとRPAを活用した情報共有の高速化と定常処理の自動化にあり!|カシオ計算機様ユースケース紹介
コロナ禍の影響でメーカーなどの製造業も大きな転機を迎えました。今回ご紹介するカシオ計算機株式会社様も生産本部を中心にサプライチェーンを強化し、情報共有の高速化、定常処理の自動化などを目指す改革プロジェクト「サプライチェーン改革プロジェクト」に着手しました。
その過程で活用した「Box Relay」や「Microsoft Power Automate」などは、作業時間の短縮やテレワークへの移行にも大きく貢献し、業務プロセス改革を実現しました。そこで得た技術ノウハウを拡大し全社的なDX化を推進するなど、大きな成果が出ている同社のBox活用事例を今回ご紹介します。
※ 今回のインタビューは全てオンラインにて行っております。
ユースケース サマリー
- 情報共有基盤の一環で、セキュリティの観点からBoxを採用
- コロナ禍の影響で承認作業をBox Relayを活用し電子化。大きな混乱なくテレワークに移行
- BoxとMicrosoft Power Automateを連携し作業を自動化。作業時間短縮や抜け漏れミスの削減を実現
ユースケース:生産本部 サプライチェーン改革プロジェクト
カシオ計算機株式会社
生産本部 サプライチェーン改革プロジェクト
福田 剛志 氏
※ Slim & Smart コンセプトが人気の電子ピアノ、PX-S1000をカシオ羽村技術センターの創造の場、グリーンルームで!
カシオ計算機株式会社
生産本部 サプライチェーン改革プロジェクト
矢野 淳也 氏
※ 着用している腕時計はビジネスカジュアルに溶け込むフルメタルG-SHOCK GMW-B5000
カシオ計算機株式会社
生産本部 生産システム開発室
田中 裕二 氏
※ 手にしているのはオルガンやトランペットの音も出せるデジタルギターDG-10(現在は販売終了)
Q: まずは御社のサプライチェーン改革プロジェクトについて教えてください。
矢野氏:サプライチェーン改革は生産計画の確定リードタイムを3ヶ月から2ヶ月に、計画差サイクルを月1回から2回に変えることです。その目的は製品の生産計画確定を、よりお客様の需要に近いタイミングで決めることにあります。
背景としてコロナ禍で巣籠需要等による売れ筋商品の変化、生活様式が変わったことによる流通の変化があります。これらの変化に対応し、お客様のニーズに応える強い体制を創りたいという強い思いがありました。
福田氏:今まで当たり前となっていたことが大きく変化したことで、そうしないと生き残れない覚悟があったと言ってもいいかもしれません。そこで、具体的な事例を紹介すると、弊社の主力製品である時計(G-SHOCKなど)は、緊急事態宣言などの影響で実店舗が閉まったり個人消費の低迷で緊急減産を実施しましたが、その際に急にはサプライチェーンのブレーキを止められないので関係各所への連絡・調整などに膨大な手作業が発生したのです。逆に2020年6月に中国だけが封鎖を解除されて需要の復活による緊急増産を実施する際も、3ヶ月の生産計画の範囲内でしか拡大できない仕組みだったので、すぐには対応できず、こちらでも調整などの作業に多くの時間を強いられました。
そこで、今まで3ヶ月かかっていた生産計画の立ち上げから増産・減産の実施までのフローを2ヶ月に縮めることを目標にサプライチェーン改革プロジェクトがスタートしたのです。
Q: 生産本部では、改革実施前にはどんな課題があったのでしょうか?
田中氏:日々の業務を分析した結果「作業系業務の負荷が高い」事実が判明しました。例えば、情報共有する際の書類です。取引先企業様に部品の発注関連の書類(部品生産依頼書)を紙で印刷して印鑑を押し、原本を郵送し、同時にスキャンしてPDF化したデータも送付するなどの作業が発生していました。また、予実管理も紙とメールにて行っていたことで配信ミスなどの対応が発生したりと作業系業務にかける時間が多く、ここを短縮し創造的な業務時間に当てるために、以下の実現を目指しました。
1)情報共有の高速化
2)定常処理の自動化
Q: この改革活動の中でBoxをどのように使っているか具体的に教えてください。
田中氏:1)情報共有の高速化を実現するために、まずは時間がかかっていた情報共有の基盤としてBoxを活用しました。社内外の情報が断絶していることに原因があったことと、セキュリティの観点からの採用でした。
以下の表のようにCSCP(Casio Supply Chain Collaborative Platform)を構築し、製品生産における部品納期に関する情報を集めて納期調整の高速化を図ったのです。
また、2)定常処理の自動化において、紙回覧による承認業務やメールの配信・保存などの普段の業務も「Box Relay」と「Microsoft Power Automate」を使って効率化を図っていきました。
Q: Box Relayはどのように活用したのでしょうか?
矢野氏:コロナ禍の外出自粛の影響もあり、今まで紙で回覧し印鑑にて承認していた書類をBox Relayで電子承認するフローを構築しました。
<メールと添付ファイルの回覧における混乱を回避する手段と効果>
<Box Relayによる承認依頼を簡略化>
具体的には上記の図のように、起案者がBox上のフォルダにファイルをアップすると、自動で承認を依頼(タスクとして依頼)し、書類が承認者用フォルダへ移動するような機能を付与しました。また、承認者の承認か拒否かによって自動で通知及びファイル移動が行われ、起案者に戻ってくる仕組みです。結果、今までの紙やメールの回覧に比べて大幅な時間の削減を実現できました。
Q: 実際の効果はどのくらいだったのでしょうか?
矢野氏:以前はありとあらゆるドキュメントに印鑑を押して回していたフローがワンクリックになったことで、承認者は年間150時間ほど工数削減(メールでの回覧を想定した仮の時間が5分とした場合*4600件→3分*4600件)、Boxにファイルをアップする担当者(起案者)は年間300時間程削減(5分*4600件→1分*4600件)の効果を得られたと考えています。コロナ禍においても、大きな混乱なくテレワークに移行できました。
Q: BoxとMicrosoft Power Automateを連携させた活用事例も教えてください。
矢野氏:Boxと連携し、「ファイルへアップ、メール作成から送信、ファイルを保存する」などの作業をMicrosoft Power Automateで自動化(RPA構築)しました。
下記のように新規部品の推進依頼書の定型文書を取引先にメール送付する際や、自社の設計エンジニアにメールを送る際の事例で紹介します。
<定型メール配信を自動化するためにBoxとPower Automateを活用>
<BoxとPower Automateで取引先へのメール送付を自動化>
私たちが送信用フォルダにファイルをアップするだけで、システムが自動で送付する取引先を判定し、メールを作成し、正しい相手に送るような仕組みです。最後は取引先ごとにファイルを自動保存までしてくれるので、全てのフローで約7分かかっていた作業が約2分に縮めることができ、抜け漏れ、配信忘れ、ミスなどが無くなるという定性的な効果も実感できました。この作業フローは以前は1日1時間程かかっていたので、ここを短縮できた効果は非常に大きかったですね。
他にも1日10件ほどあった予実管理表を業務担当者に送るメールも、自動配布設定を行い、リマインダーも付けることにより、他所から未配信のクレームがくることを事前に防げるようになったことを実感しています。
Q: Boxを使うにあたって苦労した点はありますか?
福田氏:20代の社員は新しいツールに馴染むのが早い傾向にありますが、50代以降は今までのやり方を変えることに多少なりとも抵抗があります。しかし、Boxの便利さを実際に体感してもらうことで使用率が広がっていくと思っています。例えば、自動化して便利になったこと、Box Notesに皆で議事録を書いくことで作業がスピーディーになったことなど、わかりやすい事例を積み重ねることで社内に認めてもらいました。
矢野氏:生産本部としても、今回ご紹介したBox RelayやPower Automateを、ITコンサルティング会社の勉強会で知り、弊社でもこんな使い方ができるなとヒントを感じて活用したのが導入のきっかけです。
Q: 今後はどのように使っていきたいですか?
田中氏:社内の働き方の構造改革はコロナ禍前から行われていました。紙で行う作業は完全になくならないと思いますが、在宅勤務が増えたのは追い風です。社内の生産部門以外でもBoxの使用をアピールしており、特にお取引先が多い営業部門にて広まればいいですね。
また、生産本部でも部品の納期調整はCSCPを構築していますが、それ以外の社内業務やコミュニケーションもBoxを使い業務全体の効率化を図っているところです。タスクやテキストなどのシェアといった単純なところから、取引先とのデータ連携まで、次のフェーズに向けて確実にステップを踏んでいきたいと考えています。
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