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  • 業種:製造
  • 企業規模:5,001名〜
  • 課題:情報漏洩の防止
  • 課題:情報共有の効率化・情報のサイロ化
  • 製品名:Box Governance
  • 製品名:Microsoft 365連携
ファイルサーバーからBoxへ移行
ファイルサーバーからBoxへ移行

オンプレミスのファイルサーバーからBoxへ移行。技術部門で取り扱うファイルをすべてBoxに格納することで、レポート機能を利用してユーザーアクティビティを取得可能に

PCEで情報コンタミを防止
PCEで情報コンタミを防止

PCEを利用してBoxにアップロードしたファイルのHash値をブロックチェーンに記録し、自動的にタイムスタンプを付与。ファイルの非改ざん性と存在日時を証明できる環境を構築

安心して研究開発できる環境に
安心して研究開発できる環境に

情報証拠力を高めたことで、万が一トラブルが生じたときの安心感を確保。情報コンタミネーションリスクの心配をせず、積極的な他社との協業や特許出願が可能に

BoxとMicrosoft Officeで業務を効率化
BoxとMicrosoft Officeで業務を効率化

Microsoft Officeの共同編集やBox Governanceによる全ファイルのバージョン管理など、さまざまなBoxの機能によって業務効率化を実現

株式会社小糸製作所

株式会社小糸製作所では、情報コンタミネーションリスクの防止策としてBox、ならびにトヨタ自動車株式会社が提供する「PCE」の導入を行いました。これにより技術情報の証拠力を高め、知的財産に関する紛争・訴訟時などにおける対応力を強化するとともに、他社との協業ならびに内製開発を安心して行える環境を構築。

また、Boxでファイルを一元管理することで、業務効率化とセキュリティ向上も実現しました。技術部門から先行導入したBoxは、現在新たなファイル管理基盤として全社での活用を開始する予定です。

“情報コンタミ”の解決に向けて

小糸製作所では2022年11月に「KOITO VISION~人と地球の未来を照らす~」を策定し、「企業基盤の強化」「持続的な成長」「地球・社会との共生」の3つのキーワードを軸に事業活動を展開しています。このうち「持続的な成長」の実現に向けては、“魅力ある製品のいち早い市場投入”を第一に掲げ、照明機器事業では世界をリードする先進的技術開発による新規受注拡大や交通事故低減に寄与するADBの普及拡大に注力。また、先進運転支援システム(ADAS)搭載車・自動運転車向けの「LiDAR」の開発において2017年から米国のスタートアップ企業・セプトン社(Cepton, Inc.)と協業するなど、他社との連携も積極的に行いながら安全な次世代モビリティ社会に貢献する新規事業創出に取り組んでいます。

このように新興ベンチャーを含む他社とのパートナーシップが近年増加する中で、小糸製作所は以前から課題を抱えていた情報管理基盤の強化に乗り出しました。具体的には、新技術開発において自社と他社の秘密情報が混在してしまう「情報コンタミネーション(情報コンタミ)」のリスクへ対応するためです。

「複数の会社と同じような技術で協業することもありますので、他社の秘密情報がほかのチームに混じらないようにするのはもちろんのこと、社内でオリジナル技術を開発しているチームにも他社情報が混入しないように管理を徹底する必要があります。万が一、他社の秘密情報が社内に混在した状態で内製の開発製品をリリースすると、他社から“技術を盗まれた!”として、秘密情報取り扱いに関する紛争リスクが発生し、高額な損害賠償金や社会的信用失墜を招く可能性があります」(知的財産部 部長 弁理士 岩﨑淳氏)

自動車業界ではCASE(Connected、Autonomous、Shared & Service、Electric)の進展に伴い、ソフトウェアのプログラムや仕様書等の技術ノウハウの重要性が増しています。そのため、以前から小糸製作所でも情報コンタミが起きないように知的財産の情報管理を行ってきました。共同開発を行う際、他社の秘密情報は社内管理者がメールで受信して社内関係者のみに転送し、アクセス権限をしっかりと設定したうえで社内サーバーに安全に保管。自社の秘密情報と分けてしっかりと格納することで、内製開発者が他社情報にアクセスできないように管理していました。

「しかし、自社の独自技術について特許出願する際や万が一紛争が発生した際に、たとえ情報コンタミが発生していなくても、“他社の秘密情報を使っていないこと(アクセス履歴)”や、当社が先に開発していたこと(存在日時)を証明できないことが大きな問題でした」(岩﨑氏)

“情報コンタミ”の解決に向けて

唯一の選択肢だったBox+PCE

そこで小糸製作所が目をつけたのが「Box」と「PCE(Proof Chain of Evidence)」です。2024年2月にまずは技術部門から導入を行い、従来のオンプレミスのファイルサーバーからクラウドストレージであるBoxへのデータ移行を開始。技術部門が取り扱うすべてのファイルをBoxで一元管理する方針へ転換しました。共同開発時の他社情報も社内管理者や社内関係者、または他社から直接Boxへアップロードし、アクセス権を設定したうえで自社の秘密情報と分けて管理。あらゆるファイルをBoxへ集約することで、レポート機能を利用してユーザーアクティビティ(アクセス履歴等)を取得できるようにしたのです。

そして、トヨタ自動車が開発したデータ保全サービスのPCEも併せて導入。IT担当者がPCE上で保全するファイルの証拠チェーンの情報を入力するとBox上に対応フォルダが出来上がり、技術部門の従業員はそこへすべてのファイルをアップロード。すると、それぞれのファイルのHash値がブロックチェーン基盤に記録され(ファイル更新時も時系列順に記録)、各国の時刻認証局(TSA)のタイムスタンプが自動的に付与されます。これにより、情報コンタミによる技術情報や知的財産に絡んだ揉め事が起こったり、データの不正利用が疑われたりした際に“非改ざん性”と“存在日付”を証明できるようにしたのです。

「ファイルサーバーを利用していた頃はタイムスタンプサービスを利用してタイムスタンプを手動取得していましたが、1件あたり2万円の費用と2時間の工数がかかります。そのためタイムスタンプを付与するのは一部の知的財産に限られました。一方で、PCE導入後はすべてのファイルに自動でタイムスタンプが付与されますので知的財産部の作業が一切必要なくなり、手動取得する場合と比較して試算では年間約40,800時間の工数を削減できました。それを踏まえると、BoxとPCE導入のコストメリットは非常に高いです」(岩﨑氏)

また以前は、設計部や開発部などの各部門のマネージャーが各チームリーダーからの情報を集約し、情報コンタミネーションが起こらないように管理する必要がありましたが、導入後はその必要がなくなったため、作業負担の軽減に繋がったという声も上がっています。

「利用者側の観点から見ると、従来のファイルサーバーを利用していたときと同じように対象フォルダへファイルをアップロードするだけで済みます。業務オペレーションを変えることなく利用でき、自然に保全された状態を担保できる点も魅力です」(知的財産部 調査グループ 担当員 井上達也氏)

BoxとPCEを導入してから1年以上が経過しましたが、現在まで情報コンタミに関わるトラブルは1件も発生していません。しかし、何かしらの問題が起きたときにしっかりと対応できる安心感を得られたことの価値は非常に大きいと語ります。

「情報コンタミのリスクは、社内開発の妨げになっていました。BoxとPCEを導入したことによって証拠証明をしっかりと行える環境が整ったことで、安心して他社と開発を進められるようになったこと、また自社技術の特許出願を躊躇うことなく、内製開発者が安心して研究開発に取り組めるようになったことが最大の導入効果です」(岩﨑氏)

唯一の選択肢だったBox+PCE

なお、トヨタ自動車によると、PCEの開発には小糸製作所ならびにBoxにも協力してもらい、密に連携を取りながら一緒に進めていったそうです。

「小糸製作所様がBoxの導入を検討されている中で、情報コンタミネーションリスクに課題を感じられていることを知り、PCEのPoCにご協力いただきました。負荷をかけた際にいくつかの課題が発生しましたが、その都度コミュニケーションを取りながら改善を重ね、無事に製品リリースに至りました。PCEがプロダクトとして完成するまでに、貴重な意見をたくさんいただけましたので、そう言った意味ではもはや共同開発したと言っても過言ではありません。その後、小糸製作所様にはPCEとBoxをご導入いただきましたが、従来のファイルサーバーからの移行を決断されたのは、長年にわたり技術アセットを蓄積され、その価値を企業マインドとして大事にされているからだと思います。そのようなチャレンジ精神のある企業様から良いフィードバックをいただけたのは恵まれたことですので、大変感謝しています」(トヨタ自動車株式会社 先進データサイエンス統括部 DS基盤開発室長 山室直樹氏)

業務効率化にも寄与するBox

PCEの採用に伴ってBoxを導入した小糸製作所では、「グローバルで実績のある安心感」「データを一元管理でき、容量無制限で利用できること」「社内外からのアクセスや情報共有がしやすいこと」といったBoxの特徴も高く評価しています。そしてその実、Boxはファイル保全以外の面でもさまざまな効果をもたらしています。

「Box Governanceを利用すれば、過去のファイルバージョンを無制限に保持できます。誤ってファイルを消去・変更・上書きしてしまったときにすべての履歴を遡れ、以前のバージョンに簡単に戻すことができるのでとても便利です」(知的財産部 知的財産グループ 主管補 山道龍彦氏)

また、Microsoft Officeの共同編集機能を利用してBoxに保存されているOfficeファイルのリアルタイム編集が行えることや、Boxにファイル保存を一元化したことでデータ検索が容易になり、セキュリティが向上したこともメリットです。

「Boxではすべてのファイルやフォルダで共有リンクを発行できます。共有リンクはファイルの置き場所を変更したとしてもURLが変わらないため、情報共有の際に役立ちます」(井上氏)

現段階でBoxのフォルダ設定や権限設定を利用することで秘密情報の管理はしっかりと行えているものの、Box RelayやBox Shieldなどの機能を活用してさらにセキュリティを高めていきたいとのこと。

さらに小糸製作所では、技術部門における導入効果を踏まえ、従来のファイルサーバーの代わりとしてBoxの全社導入を2025年5月から開始しています。本格的な利活用はこれからですが、容量無制限という特徴を活かしてBoxで社内の情報管理基盤を統一し、全従業員がBoxを利活用できる環境を整えることで、セキュリティを担保しながら、社内外のスムースな情報共有やコラボレーションを促進するなどして業務効率化や生産性向上を図っていく考えです。

業務効率化にも寄与するBox