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  • 業種:政府・官公庁・自治体
  • 企業規模:5,001名〜
  • 課題:ファイルサーバー老朽化・容量ひっ迫
  • 課題:業務プロセスの自動化・効率化
  • 課題:モバイル・リモートワーク対応
  • 製品名:Salesforce連携
  • 製品名:Box Platform (API)
法人文書をBoxに集約
法人文書をBoxに集約

紙媒体からデジタルでの管理にシフトし、ほぼすべての法人文書をBoxに集約してセキュアに保存・管理

電子化で決裁業務を効率化
電子化で決裁業務を効率化

法人文書にまつわる一連の業務を電子化したことで、起案文書の決裁時間を短縮し、決裁者や起案者の作業負担を軽減

容量不足・保管場所確保の課題を解決
容量不足・保管場所確保の課題を解決

オンプレミスのファイルサーバーで発生していた容量不足や運用コストの問題を解決。法人文書を容量上限なくBoxに保存できるため、物理的な保存場所の確保が不要に

法人文書の点検・確認・監査の時間を短縮
法人文書の点検・確認・監査の時間を短縮

電子化された実データとメタデータ(属性情報)をシステム上で一緒に確認できるため、法人文書の点検や監査対応にかかる時間を大幅に短縮

産業技術総合研究所(AIST)

経済および社会の発展に資する科学技術の研究開発などを総合的に行う日本最大級の公的研究機関である国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)。「社会課題の解決と我が国の産業競争力強化に貢献するイノベーションの連続的創出」をミッションとしています。全国12か所にある研究拠点において多岐にわたる研究開発を実施しており、傘下の株式会社AIST Solutionsと一体となった産総研グループとして、世界最高水準の成果の創出とその社会実装に力を入れています。

設立以来、電子化の取り組みを積極的に行ってきた産総研では、業務システムのクラウド化を図るために、法人文書の作成から保存に至る一連の業務プロセスのデジタル化に着手しました。そして、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)のクラウドサービスリストに登録されていることや、ストレージ容量が無制限であること、決裁システムや個別業務システムと連携しやすいことといったさまざまな要求仕様を満たせるサービスとしてBoxが導入されました。

業務システムのクラウド化を推進

産総研では、令和2年度からの第5期中長期目標期間において、「世界に先駆けた社会課題の解決と経済成長・産業競争力の強化に貢献するイノベーションの創出」をミッションに据えていました。その実現に向けて策定された第5期中長期計画ではさまざまな取り組みが行われ、「業務の電子化に関する事項」では電子化の促進等により、事務手続きの簡素化・迅速化による利便性の向上、幅広いICT需要に対応できる情報システムの充実、情報インフラの安定的な稼働の確保とセキュリティ対策強化を目標に掲げていました。「業務システムのクラウド化への検討開始」も明記されており、政府が推奨する「クラウド・バイ・デフォルト原則」に則り、クラウドサービスの利用を第一候補として現在も業務システムの再構築を進めています。

こうした取り組みの中で産総研が真っ先に着手したのが、法人文書(役職員等が職務上作成し、研究所が保有する文書)の作成から保存に至る一連の業務のデジタル化です。

「内閣府が示す『行政文書の電子的管理についての基本的な方針』によって行政のデジタル化が進められています。日本最大級の公的研究機関である産総研においてもそれに倣い、法人文書のデジタル化を推進し、さらなる業務運営の効率化と新たな働き方の実現、セキュリティ強化を目指しました。2001年の設立以来、産総研では積極的に電子化の取り組みを進めてきましたが、従来の法人文書の管理システムは文書を保存する機能しか持ち合わせていませんでした。スクラッチ開発したシステムは、オンプレミスのファイルサーバー上に構築されていたこともあり、法人文書の一連の業務プロセスを抜本的に見直し、クラウドをベースとした新たなシステムを導入することにしたのです」(経営企画本部 情報セキュリティ部 部総括 大谷直人氏)

そうした背景を踏まえ、産総研では法人文書の管理、承認・決裁、ポータル機能を有する新たな「文書管理・電子決裁システム(以下、本システム)」の導入目的や機能要件等を定義した仕様書を公開。そして調達を行った結果、BoxならびにSalesforceを組み合わせた新システムの採用に至りました。

この新たなシステムにおいて、Boxは法人文書の作成から保存に至る一連の業務の包括的かつセキュアな文書管理基盤としての役割を担います。具体的には、研究職員や事務職員、契約職員などの利用者が作成した法人文書のセキュアな保存・管理が可能となりました。また、各個別業務システムで作成された起案文書に関してはSalesforceを介して申請・承認が行われ、決裁が完了したあと自動的にBoxに保存されます。さらにBoxは産総研内の法人文書のファイル共有にも用いられるほか、法人文書の使用領域と論理的に切り分け、利用者が作成した法人文書以外のファイルを保存・共有するためのクラウドストレージとしても利用されています。

 

業務システムのクラウド化を推進

求める仕様要件を満たしたBox

産総研が本システムの基盤としてBoxを採用したのはさまざまな仕様要件を満たしていたためですが、中でも特に重要だったのが、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度「ISMAP」のクラウドサービスリストに登録されていたことです。

「公的機関である産総研で業務上取り扱うすべての文書が法人文書に当たります。そのためISMAPで定められたセキュリティ水準を満たすクラウドサービスであることはもっとも重要な要件でした」(大谷氏)

Boxは2021年9月に初めて登録されて以来、政府調達の対象品目の1つとして、政府が求めるセキュリティ基準を満たしていることが証明されています。

また、産総研で取り扱う文書は年間2万件にも及び、中にはファイルサイズの大きい図面などもあることから、「ストレージ容量無制限」というBoxの特徴も大きな決め手になりました。

「従来のオンプレミスのファイルサーバーではストレージ容量に上限がありました。そのためストレージがいっぱいになると古いデータを削除して空き容量を確保していたのですが、法人文書の中には無期限に保存しなくてはならないものもあります。そういったものを電子化するうえでは、できる限り上限のないストレージが求められました」(大谷氏)

さらに本システムでは決裁機能を有し、メタデータを適切に管理できるシステムや産総研内の個別業務システムとの接続を念頭に置いていたことから、個別にカスタマイズすることなく、豊富なAPIによって他のツールやシステムと連携しやすい点も評価されました。

「産総研では、これまでさまざまな業務システムを内製でスクラッチ開発していました。業務ニーズに細部までマッチするシステムをオーダーメイドで構築できるのは大きなメリットでしたが、法人文書関連の法令などが変更されたときには、時間や費用をかけて都度対応しなければなりません。ですから、本システムでは開発期間の短縮やコストの削減を実現可能なパッケージ開発をベースとしながら、弊所のニーズに合わせて機能を柔軟に組み替えられるものを探していました」(大谷氏)

Box導入でもたらされたメリット

本システムの構築によって、産総研にはさまざまな導入メリットがもたらされました。まずもっとも大きな効果として現れたのが、電子決裁を実現したことによる起案文書の決裁時間の短縮と、決裁者ならびに起案者の負担軽減です。

「紙媒体で決裁処理を行っていたときは決裁者が自席にいなかったり出張していたりすると処理が滞っていましたが、本システム導入後は決裁におけるすべての工程がオンラインで完結するため、所内から“ハンコリレー”がなくなりました。決裁者は出張中やテレワーク中でも素早く処理を行えます。極端に言えば、朝に起案したものが昼には決裁が完了しているなど決裁にかかるリードタイムを大幅に短縮でき、業務の効率化や意思決定の迅速化につながりました。また、決裁者および申請者は場所にとらわれず作業を行えるため、働き方改革の実現にもつながりました。さらに、角印(公印)を押す必要がある書類に関しても、以前は実際に申請者に起案文書一式を持参してもらい、その場で起案文書を確認して押印するという流れでしたが、本システムでは、申請や起案内容の確認もシステム上で行えます。そのため、公印管理責任者が、あらかじめシステムに保存された起案文書一式に目を通しておけばすぐに押印できるようになり、業務の効率化が図れました」(大谷氏)

決裁後の紙の起案文書は安全なキャビネットに保管しなければなりませんが、本システムでは決裁後に自動的にBoxに保存されるため、その手間がかかりません。また、既存の紙の起案文書は期限を迎えれば破棄できるため、将来的に物理的な保管場所の確保が不要になることもメリットとして捉えています。

また、産総研では公文書管理法に基づき、保有する法人文書のメタデータを「法人文書ファイル管理簿」として内閣府に報告するとともに、外部公開することが求められています。旧システムではファイルサーバーにメタデータを保存していましたが、本システムではSalesforce上に保存。実データとメタデータをシステム上で一緒に確認できるため、従来よりもファイルの分類基準表に則った照合がしやすくなりました。

「年に1回行う法人文書の棚卸し作業の負担も大きく軽減されました。紙の場合は、紙の文書と帳簿を突き合わせながら確認しなければならず、整合性のチェックに時間がかかっていました。保存期限が来た文書を廃棄する場合は、目的の文書をキャビネットから探して確認し、システム登録(廃棄処理)したうえでシュレッダーにかけるという一連の作業が必要になります。本システムであれば文書をすぐに検索できますし、システム上で内容を確認したあと廃棄ボタンまたは延長ボタンをクリックするだけで済みます。年間2万件もある法人文書の中から期限が来たものを1つずつ物理的に処理するのは大変ですが、今後はその時間を大幅に削減することができます」(大谷氏)

さらに、紙の文書と比べてセキュリティの向上が図れたことも、本システムの大きな導入メリットだと言います。

「紙の場合は保管場所が狭くなるとほかへ移動したり、持ち出したあとに返す位置が違ったりしてファイルが迷子になる可能性がありました。本システムの場合は所定のフォルダにきちんと格納されていますし、利用者が誤ってファイルを消去しないように制限をかけることもできます」(大谷氏)

産総研ではBoxのきめ細やかなアクセス権限設定を利用し、許可された関係者のみが、必要なファイルにアクセスできるよう制御。セキュリティ面においてはBoxの標準機能でカバーできるものが多く、ファイルの暗号化やユーザーアクテビティログの記録などを行うことで安全性を担保し、監査対応できる仕組みづくりを行っています。

Boxがクラウドシフトの礎に

Boxを文書管理基盤に据えた本システムによって、“業務システムのクラウド化“への第一歩を大きく踏み出すことに成功した産総研。全基幹業務のシステム基盤となる本システムの構築は業務運営の効率化や新たな働き方の実現、セキュリティの強化だけでなく、その後に続くさまざまな業務システムのクラウドシフトへの弾みをつけるという意味でも大きな価値を持ちました。

「事業が拡大し、オンプレミスのシステムで取り扱うデータ量が増えると、その保存領域としてのファイルサーバーの容量が追いつかなくなってきます。その都度ストレージを追加するのは、手間やコストがかかりますし、そもそもファイルサーバーには耐用年数があります。ファイルサーバーを入れ替えるとなると再設計やデータ移行が伴うため、早くても半年以上はかかります。そうしたことを踏まえると、クラウド上で容量無制限に利用でき、一元的にファイルを集約して管理・利活用できるBoxの導入に今回踏み切れたことは大きな価値があります。BoxはAPI連携による接続性に優れ、用途や業務システムに合わせて保存領域を安全に分けられ、さらに共通ストレージとして無制限で利用できます。こうした特徴は将来的に新たな業務システムを導入する際の大きな魅力です」(大谷氏)

今後のBoxの利活用に関しては、紙で保存している約20年間分の法人文書のうち保存期間が長い文書をPDF化して保存することを検討していきたいといいます。それが実現できれば、物理的な保存場所をさらに削減できるほか、棚卸し業務や監査対応が楽になり、全国にある所管部署の負担を軽減できるからです。

産総研 事例クォート