脱!データ保管庫。
「Boxなしでは業務が回らない」基盤の実現
脱!データ保管庫。「Boxなしでは業務が回らない」基盤の実現

データの分散管理からの脱却を目指し、当社は2024年度よりBoxを全社導入しました。ファイルサーバーを運用していた時代に抱えていた容量制限や情報分断といった課題を解消し、クラウド上での安全なコラボレーションと、運用・定着の両立を実現しています。今回は、JTBグループがBoxを導入した背景から実務的な移行計画、そして90%を超える定着率を支えた社内施策までをご紹介します。

IT企画チーム 真野 宗大 氏
分散管理からの脱却 — JTBがBoxを採用した理由と(実務的)移行計画
当社は以前、全国の地域や業務ごとに15社に分社化していました。現在は統合して1つの会社になっていますが、Boxを導入した経緯は、10年経ってもその当時の名残りで、ファイルサーバーで文書などのデータを管理していたことに起因します。
ファイル容量の上限が見え、契約更新も迫っていたタイミングで、さまざまな代替案を検討しました。その結果、容量無制限で、他のSaaSとの連携も豊富、高いセキュリティなど、要件を満たしていたBoxを採用しました。
導入後のBoxのフォルダ構成は、セキュリティレベル別の4領域構成で明確な使い分けを実現しています。具体的には、ファイル構成を『A』『S』『C』『F』の4領域に分け、それぞれコラボレーションできる領域が異なる運用を実施しています。
※「ASCF」の意味は、以下の表参照

JTBグループには1万人以上のユーザーがいるため、使い始めの導入マニュアルとしてBox Hubsに「はじめに」というファイルを設置するところからスタートしました。コラボレーションや共有リンク、ファイルリクエストのようなBoxの基本的な使い方、ウォーターフォール設計の考え方、初めてBoxを使うコラボ先へ案内するためのファイルなどの情報をまとめています。社内で問い合わせがあったときの回答も、このファイルに記載してある内容であれば、「このページを見てください」と案内することで、ユーザーに自分で解決してもらうような習慣を作ってもらっています。
そして、ファイルサーバーからBoxへの移行の推移としては、まず2023年11月に全社に向けて運用を案内し、その半年後の4月にBoxの利用をスタートさせました。以降の半年間は基本的にBoxとファイルサーバーを併用する期間を設け、 2025年10月にファイルサーバーを完全に停止しました。
毎週金曜日から週末にかけて、社内のいずれかの組織で移行を実施していたため、社内コミュニティであるTeamsでは、該当の組織名を具体的に挙げて、どの時点でファイルサーバーのデータが移行されるのかを継続的に発信していました。
旅行会社ならではの表現として、『データ移行の最終便が出発します』といったユニークな案内を取り入れ、これを逃したらまずいということを伝えていました。最終的には一部のマクロなどの特殊ファイルの緊急退避用のファイルサーバーを期限付きで残してはいますが、他はすべてBoxに移行を完了。ブラウザ中心の利用(Box Driveは使用せず)、外部共有ポリシー(パスワード必須)などの運用方針も同時に定めています。

現場が育てた定着施策 — Teamsコミュニティ、朝活セミナー、テックタッチで実現した高定着率
現在の利用者は90%を超え、高い定着率が続いている状況です。その施策として当社が行ったことを3つご紹介します。
施策1:Teamsコミュニティの活用
Box導入当初、社内でサポート対応にかけられるリソースが限られていたことが大きな課題でした。「共有リンクが開きません」や「権限をつけてください」といった似たような問い合わせに一つひとつ回答していると手が足りない状態だったのです。
解決策として、社内のメンバーが使い慣れているTeamsを使ったコミュニティでの情報発信を行いました。誰かが気になった点は社内の他の人も気になっていることもあるので、全員に向けたオープンな場所で質問を受け付けました。
Tipsなども紹介することで、現在は2,300人を超えるコミュニティチャンネルに育っています。管理者からの注意喚起なども届く影響力のある場所になっており、「ここに来れば何か解決ができるかもしれない」という空気作りもできています。
施策2:朝活オンラインセミナーの実施
利用開始後1年が経ち、少し使い慣れてきた段階で2回オンラインセミナーを開催しました。異動や中途入社などで入る方もいたり、全社で導入していることもあったりして、「今さら聞けない」という問題があったためです。
ウォーターフォールの設計やコラボレーションといった基本的なことを改めて学び直すとともに、導入を開始していたBoxアプリの使い方なども紹介しました。事前の申し込みは600人以上、就業時間外のライブ配信にもかかわらず多くの社員が参加してくれました。
施策3:テックタッチ(画面ガイド)の活用
利用者が同じようなところでつまずくことが多いという課題を、画面上で案内を表示する「テックタッチ」というツールで解決しました。具体的には、以下のような活用を実施しました。
- マスクによって周りを巻き込んでの誤操作事故の抑止
- よくお問い合わせのあるところにガイドを設置
- 月末月初時期のみ「異動時によくある質問」の掲示板への誘導案内
Box利用基盤のさらなる進化に向けて
現状、Boxの利用開始から1年以上が経過して、ユーザーも使い方に慣れてきました。利用率向上のために行ったことは、Boxの画面上だけでなく、ユーザーが使い慣れているTeamsや具体的な利用シーンがイメージできるセミナーの開催などです。また、危険な作業にはアラートを出すことなどで、Boxを安心して利用できる環境を作りました。
さらに工夫した点として、Box単体の機能だけではなく、パートナーサービスと組み合わせて有効な機能を活用しました。
今後は、現状JTB本体での利用が中心になっているところをグループ会社にも展開をしたり、Box Signなどの機能も検討していく想定です。
Boxは使い方次第で自由度の高いプロダクトですが、実際に触らないとわからないことも多いと感じています。ユーザーが積極的に触れる環境を作っていくことは大切で、私自身も右も左もわからない状態でしたが、管理者としていろいろな環境に触れさせていただくことで、理解が深まってきました。今後もBoxユーザーの皆さまと知見を共有しながら、共に成長していきたいと考えています。
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