Box Signから始まるEnterprise Plus生活!
営業プロセス改革で広がる業務効率化の可能性
Box Signから始まるEnterprise Plus生活!営業プロセス改革で広がる業務効率化の可能性

愛知県蒲郡市に拠点を置く医療機器の開発・製造・販売メーカーである株式会社ニデック。私たちは、主に目の分野において様々な製品を取り扱っており、一般の方に一番知名度があるのは、眼科や眼鏡店にある、覗くと「気球」が見える装置かと思います。
今回ご紹介するのは、営業プロセス見直しに端を発したBox Signの活用において、実際に仕組みを構築するまで乗り越えた壁の数々と、Box Enterprise Plusプラン導入で使えるようになった各機能の活用検討事例になります。

経営企画本部 業務改革推進室 課長補佐 杉浦 智行⽒
課題から始まったDX:Box導入の経緯
当社は2021年からBoxの導入を検討し始めました。当時はファイルサーバーの代替として、Box Business Plusプランでの導入を検討していましたが、Boxのさまざまな機能が業務改善ツールとして効果があると判断した結果、Box Enterpriseプランでの導入となりました。
その後、2023年から一般ユーザー向けの教育や業務基盤であるIntra-martとの連携基盤を整備しました。ユーザーへの教育が不十分だという意見が出た際は、Boxのカスタマーサクセスの方にもご協力いただき、各機能の勉強会も実施しました。
また、Box Relayについては全社市民開発ツールの一つとして展開し、さらなる利活用に向けて2025年からBox Enterprise Plusプランへのグレードアップを行いました。
そんな私たちニデックのBox導入から現在に至るまでを整理すると、従来より使用してきたグループウェアNotes+ファイルサーバーという状態から、コミュニケーション基盤であるMicrosoft 365、業務基盤であるintra-martと並んで、コンテンツ基盤+としてBoxを位置づけています。

これら基盤とBoxの繋がりの例を挙げると、SharePointで構築した社内ポータルで発信する案内に添付するファイルについては全てBoxに置くようにしています。また、intra-martで起案したワークフローに添付するファイルについても同様に、Box側へ保存するようにしています。
営業現場が変わる:Box Signで実現したペーパーレス化・業務効率化
ここでBox導入における営業プロセス改革を紹介します。当社がホームページで公開しているDXレポート(下図)に記載したDX戦略の1つ「顧客情報の価値化」の活動として実施したこの見直しは、その名の通り社内の全ての活動が対象でした。システム側の連携によるシングルインプット化のみではなく、活動そのものを見直すなど、その範囲は多岐にわたります。

事例を挙げると、この見直しの中の課題の1つに、機器の納品プロセスがありました。従来、お客様のもとへ機器を納品・設置を行い、紙の受領書にサインをもらいます。その後、いただいた受領書を持って売上処理を実施し、製品の保証書を印刷したら、その保証書を再度お客様のもとへ届ける必要があり、一度の納品で2度の訪問が必要でした。
この紙の受領書が年間7,000件ありましたが、納品プロセスに電子署名を導入すれば訪問を一度で完了できるのではないか。つまり、「ペーパーレス」と「訪問1回で完結」を実現できると考え、Box Signを活用することを決めました。
その際、当社では従量課金である他の電子署名ツールを既に導入しており、こういった件数が多いものについての適用は見送っていたことも背景としてあり、無料で使用可能なBox Signを活用することになったのです。
その後、どのようにBox Signを現場で使ってもらうかという議論になり、Box Signテンプレートを用意し、別途出力した受領書への置き換えを手動で行うという案もありました。しかし、現場での負担を考えた結果、API連携で署名リクエストを発行することになりました。
APIで署名のリクエストをする際、プランによって上限があります。Box Enterpriseプランでは年間250件となっており、追加で購入することができません。当社の場合、年間で最低7,000件の受領書発行が確定している状況なので、このままでは実現不可能となり、Box Enterprise Plusへの切り替えを検討し始めたのです。

次の一手:Box Enterprise Plusプランで広がる可能性
Box Enterprise Plusプランを経営陣へ提案する際は、Box Signの活用の他、プラン変更により使える機能を企画案としてまとめました。
- Box AI for Hubs:ナレッジベースとして活用できる点、RAGの第一歩として有用
- Box Governance:ファイルバージョンが無制限となることや、リーガルホールドなどのデータ保全機能
- Box Shield:ラベル分類によるセキュリティ強化
- Box Zones:主にGDPRへの対策として有用
このように、検討中の機能とそれぞれの狙いを整理し、今後の費用対効果を検証するということを条件に、プラン変更への同意を得ることができました。
また、Box Enterprise Plusプランであっても「無制限(サードパーティ)」と「1,000(カスタム)」という記載がプラン表に記載されていました。サードパーティやカスタムとは一体、何なのか。Boxのエコシステムソリューションへ登録されているintra-martはどちらになるのか。当社で必要な数は7,000件なので、どちらになるかは大きな違いです。結果、現在サードパーティとして認定されているのはSalesforceのみということで、カスタムで足りない分は追加購入となりましたが、これで実装の準備が整いました。
まず、Box Signの利用においてはテンプレートを使用したいと考えました。Web上での操作を、APIを使って実施しようとした際、テンプレート取得のリクエストを作成するといったAPIが準備されておりスムーズにできそうでしたが、「既存のフィールドを保持する」に該当するオプションがリクエスト作成のAPIに存在しておらず、テンプレートのフィールド情報を保持できないという問題が発覚しました。
この問題については、Boxのサポートとのやり取りの結果、製品フィードバックを送信する方法であるBox Pulseへの登録を勧められました(※)。テンプレートの利用はできませんでしたが、サインしたい帳票を用意する際に、特定の文字列をセットしておくことで、リクエスト作成のタイミングでフィールドへ置き換わってくれる機能を使うことで、署名フィールドが追加されたサイン文書が作成できており、当初やりたかったことは実現できている状況となります。
※ニデック様が登録したBox Pulseはこちら:Box Sign テンプレートを使用する際に既存のフィールドを保持するための Box Sign API のパラメータを追加する。
Box Enterprise Plusプラン導入後の現状
最後に、Box Enterprise Plusプランの機能活用検討の現在地を1つずつ整理します。

- Box AI for Hubs:Box Hubsの権限付与の方法を検討中のため、検討でき次第全社展開する予定です。
- Box Governance:ファイルバージョン無制限を便利に活用できており、いざという時の備えはできたと感じています。
- Box Shield:200TB強の既存コンテンツにどのようにラベルを付与するかを検討中です。可能であれば、ラベル付与についてはBox導入時に検討すべきと感じています。
- Box Zones:データを日本リージョンに移す際のメリット/デメリットを勘案し、必要に応じて対応としています。
- GxPコンプライアンス:導入時から検討していたものではありませんが、オプションとして活用できました。当社の場合、医療機器を販売するにあたり、データを保持するシステムについてもさまざまな規制があります。オプションを有効にすることで、それらが担保されるため品質担当の作業工数が減っており、社内で好評です。
営業プロセスの見直しについては、全ての工程が終わったわけではなく、現場の方には都度ご迷惑をおかけしている状況です。Box Enterprise Plusプランの機能の活用についても、まだまだ道半ばではありますが、これらの機能を今後フル活用して業務改革実現に繋げていきたいと思います。
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