
事業拡大に伴うファイルの増加による容量不足、同期不具合によるファイル消失といった課題を、容量無制限のBoxとエクスプローラからアクセスできるBox Driveで解決

Boxは高度なセキュリティ&ガバナンス機能を標準で備えるため、自社で個別対応する必要がなくなり、リソースを本業に集中させることが可能に

金融機関全体で課題となっているPPAP(パスワード付きZIPファイルのメール送信)の廃止に対応すべく、Boxの共有リンク機能の利用に切り替えてセキュリティを強化

社外パートナーとの情報連携強化にBoxのコラボレーション機能を活用予定。コンテンツハブとしてのBoxの活用を高め、「日本の資産運用業界のハブ」を目指す
金融機関向けのゴールベースアプローチ型資産運用支援サービスの提供や、資産運用ビジネス立ち上げ・運営に関するコンサルティングサービス、投信ビジネス支援サービスなどを展開する日本資産運用基盤株式会社。自前ですべてに対応することをよしとする「自前主義」の考え方から金融機関を解放し、自らにない強みを持った外部金融機関・非金融機関と連携することで、自らの強みに集中するような新たな資産運用ビジネスの事業モデルの再構築を支援しています。
日本資産運用基盤は、既存クラウドストレージの容量不足やファイル同期の不具合に課題を抱えていたため、事業の成長に合わせ柔軟に拡張できる点などを評価し、新たなクラウドストレージとしてBoxを採用しました。導入にあたっては有償のコンサルティングサービスに頼らず、自社リソースのみで工夫を重ね、商品選定からわずか半年で本稼働を開始。Boxの活用によりシステム基盤の安定化や情報共有の効率化が進んだだけでなく、金融業界全体で課題とされているPPAP廃止も実現。スタートアップ企業との親和性に優れたBoxが、スピード重視の同社業務をさらに加速させています。
相次ぐ障害、脱旧来型クラウドストレージへ
「金融ビジネスを最適化する」をミッションに掲げ、システム開発会社や業務BPO会社、コンサルティング会社ではなく、“基盤”ソリューションプロバイダーとして日本の資産運用業界に「ビジネス基盤」を提供する日本資産運用基盤(JAMP)では、創業当初からオフィスソフトウェアにパッケージとして含まれる社内ポータルサイトを業務用ファイルストレージとして利用してきました。しかし、急速な事業拡大とそれに伴う従業員数の増加により、近年2つの問題を抱えるようになりました。
1つはストレージ容量の不足です。数年前までは200GBで十分に足りていたものの、この1〜2年でストレージ消費量が急増し、最大1.5TBにまで拡大。一時的に容量を2TBまで増量し、従業員に不要なデータを削除して対応していたものの、それもすぐに使い果たしてしまい、コスト増の観点からもこれ以上の容量追加を許容できない状況でした。
もう1つの問題は、既存クラウドストレージのファイル同期の不具合です。Windowsエクスプローラと既存クラウドストレージ間の同期失敗によるファイル消失が多発。この影響で情報資産を失ったり、業務が停滞したり、情報共有が遅延したりなど事業継続に深刻な支障をきたしました。
そこで同社は他ファイルストレージへの移行を喫緊の課題として、情報システム担当1名および子会社の事業部門から数名の有識者を集めてプロジェクトチームを発足。2025年2月から3月にかけて既存クラウドストレージに代わる製品の調査を開始しました。
事業成長にフィットする柔軟なBox
プロジェクトチームが新たなファイルストレージを選定する際にもっとも重視したのは、従来と変わらない方法で従業員が利用できることでした。
「業務で多数のExcelマクロファイルを利用しているため、Windowsエクスプローラ経由で利用でき、なおかつリアルタイムで共同編集できることを最優先の条件としました。また、PCとクラウドとの同期による現在と同じような不具合が発生する懸念のあるサービスを除外したところ、最終的に条件を満たしたのはBoxだけでした」(日本資産運用基盤株式会社 企画・管理部 マネジャー 桐山 幸則氏)
また、選定時にもう1つ重視したポイントが、事業の急速な拡大に対応できる柔軟性でした。現在、同社が提供するゴールベース型資産運用支援サービスは多くの金融機関から引き合いを受けており、スタートアップ企業として、こうしたニーズに迅速に応えるためスピード感をもって事業を推進しています。そのため、事業の成長に合わせて弾力的に伴走できるスケーラブルな製品を求めていたのです。
「自社でファイルサーバーを構築しても、いつの間にか想定以上にファイルが増え、そのたびに設計の見直しや再構築が必要になります。そのため、容量を柔軟に拡張できる環境が望ましいと考えていました。その点、Boxはストレージ容量が無制限であるため、容量不足の心配は不要です。さらに、会社の規模が拡大するにつれて内部統制やセキュリティ対策の重要性が増しても、Boxは高度なセキュリティやガバナンス機能を標準で備えていますので、自社で独自に整備することなく、リソースを本業に集中させることができます」(日本資産運用基盤グループ JAMPビジネス・イノベーション株式会社 企画チーム マネジャー 関 晶子氏)
さらに、幅広い導入実績と多くの企業からの支持があること、スピーディーな業務推進に不可欠な情報共有や共同編集などのコラボレーション機能に優れていることも総合的に評価し、最終的にBoxの採用を決めました。
「Boxには複数の料金プランが用意されており、最初はBusinessプランから利用すれば、スタートアップ企業でも十分カバーできる水準です。費用が大きなボトルネックとなることはありませんでした」(関氏)
旧クラウドストレージからBoxへ短期間で移行
2025年3月にBoxの導入を決めたあと、業務遂行に不可欠なファイルストレージのシステム障害という深刻な問題をいち早く解決するため、プロジェクトチームは2025年4月から5月にかけて導入プロジェクトを早急にスタートさせました。
「初期費用を抑えるためにBusinessプランを選定し、導入時のアカウント数を絞るなどして決裁のハードルを下げて迅速な社内承認を取得しました」(桐山氏)
また、有償のコンサルティングサービスに頼ることなく、Box導入に必要なネットワーク設計、ディレクトリ設計、データ移行、テスト、トレーニング、アカウント配布などのタスクを自社リソースのみで実施することに。導入のスピードを確保するために3つの工夫を凝らしました。
1つ目は、情報システム担当と利用部署で協業する体制を構築したことです。利用部署の有識者と連携してBox導入推進者をアサインしてもらい、利用部署内のテスト・トレーニング・問い合わせはBox導入推進者に任せることで、情報システム担当はインフラ系の課題に注力できる環境を整えました。
2つ目は、「スモールスタート」です。情報システム担当者は1名しかおらず社内への一斉導入が体制的に難しかったため、まずはITリテラシーの高い利用部署を先行導入部署として選定し、ノウハウを社内に蓄積したうえで他部署に段階的に展開しました。さらに導入当初は機能を絞り、まずはファイルストレージとして導入し、安定化後に共有リンクを通じた社外への情報連携など利用方法を拡大させる方針を取りました。
「ITリテラシーが高い部署に最初に導入したことで、社内で共有リンクを送るなどの行動が自発的に見られ、その後導入した別部署でもBoxの使い方が少しずつ浸透し、Boxを使えるカルチャーや土壌が広がっていきました」(関氏)
3つ目は、集中的なデータ移行です。旧クラウドストレージからBoxへのデータ移行は情報システム担当が一括で実施することで、ユーザー任せによる移行停滞を回避しました。
こうした取り組みが奏功し、プロジェクトチームは商品選定からわずか半年後の2025年5月に、Boxを本稼働させました。Box導入の実装期間だけで見れば、わずか約1ヵ月半で完了させたことになります。現在は、先行導入部署(子会社)のほか1部署(子会社)への導入を完了し、次の部署(子会社)への展開を進めています。最終的には社員に加え、常駐するビジネスパートナー企業のメンバーを含めた約60名規模の全社Box活用環境を構築する予定です。また、プロジェクトチームは、Box導入にあたり社内説明会を実施するとともに、社内SlackにBox専用チャンネルを開設し、基本操作や活用法を継続的に発信するなど、ユーザー教育にも力を入れて定着化を促進しています。
PPAPの廃止も即座に実現
Boxは、業務で使用するファイルの保存はもちろんのこと、メンバー間でのファイル共有やドキュメントの共同編集、部署・チームごとのフォルダ管理やアクセス権限の設定などに主に利用しています。
導入の大きな効果の1つが、システム障害やストレージ容量の枯渇などインフラ基盤に起因するストレスから解放され、安心して業務遂行が可能となったこと。また、Boxの共有リンク機能を活用することで社内外との情報共有もスムーズになり、業務の効率やスピードの向上にもつながっています。
さらに、PPAP(パスワード付きZIPファイルのメール送信)の廃止にも迅速に対応できたのも大きなメリットでした。2025年6月に公益財団法人 金融情報システムセンター(FISC)が、「パスワード付き暗号化ファイル添付電子メール」の課題および対策に関するFISC見解を公表したことを受け、同社でもBoxの共有リンクでファイルを共有する方法に即座に切り替えてセキュリティの向上を実現。ファイル共有機能が充実しているBoxだからこそ実現できたことです。
「Boxはスタートアップ企業との親和性が非常に高いと感じています。というのも、スタートアップ企業は事業の成長に全力を注ぎたいからです。Boxを導入してからは、ストレージ容量の心配をする必要がありませんし、PPAPへの対応のように、状況に応じてセキュリティやガバナンスに関する機能をすぐに実装できます。そのため、私たちは日々の業務に集中しつつ、事業の成長そのものに注力できるようになりました。スピード感を重視する当社の事業運営とBoxの機能は非常に相性が良く、業務推進力を大幅に高める要因となっています」(関氏)
今後は、Box DriveによるWindowsエクスプローラでの利用だけでなく、Webブラウザで利用できるBox NotesやBox Canvasの利用を広げていくことに加え、Boxのコラボレーション機能を活用して社外パートナーとの情報連携強化も図っていく予定です。
「社名が示すとおり、我々は金融機関様のハブとなる事務システム基盤を提供することで、すべての日本の資産運用の基盤になりたいと考えています。当社のこうした考え方は、Boxが提唱する『コンテンツハブ』という考え方ととても親和性が高いです。たとえば、Boxのコラボレーション機能を利用して金融機関様ごとにフォルダを作成して招待すれば、従来のメールでのやりとりよりも格段にスピーディーなコミュニケーションが可能になります。今後は、外部コラボレータ数に上限がないBusiness Plusプラン以上へのアップグレードも視野に入れながら『コンテンツハブ』としてBoxを活用し、さらなるビジネスの成長につなげていきたいです」(関氏)
【3分でわかる】業務効率化に
効く!Boxの使い方
本資料からわかること
- ストレージの容量制限を解決!
- メール添付によるファイル共有を解決!
- 情報システム担当者の作業負担を解決!
- 「金銭的コスト」と「時間的コスト」の両方を最適化!
