目前に迫る「2025年の崖」問題やコロナ禍をきっかけに普及したリモートワークの影響で、多くの企業がシステムリプレースの必要性に迫られています。本記事では、これらの課題を踏まえた働き方改革の現状、改革を真に実現するためのシステムリプレースの必要性やその取り組み方について解説します。
2025年の崖問題の背景
「2025年の崖」問題とは、多くの企業で基幹システムの大部分が2025年頃に老朽化し、ブラックボックス化やサポート終了によって深刻なIT負債となる問題を指します。この問題は、2018年に経済産業省が「DXレポート」で指摘したことをきっかけに広く認知されました。「2025年の崖」が生じる背景には、以下のような要因が潜んでいます。
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社内システムの老朽化
多くの企業は、長年にわたって運用されてきたレガシーシステムに依存しています。これらのシステムは開発当初の技術で構築されており、現代の技術環境やビジネスニーズとは合致していません。
レガシーシステムは、維持・保守費用の増大という問題も抱えています。古いシステムはメンテナンスを要する機会が多い上に、対応できる人材も限られています。企業によってはIT予算の9割以上が、これらのレガシーシステムの保守管理に消費されると「DXレポート」では予想されています。
レガシーシステムが持つセキュリティの脆弱性やシステムダウンのリスクが、業務の停止や情報漏洩といった多大な損失を招くことも懸念されます。
参照元:DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~p.2
社内システムのブラックボックス化
システムの内部構造がブラックボックス化してしまうこともレガシーシステムが抱える大きな問題として挙げられます。レガシーシステムは古い技術や言語で開発されている上、長い年月のあいだに改修を繰り返し、構造が非常に複雑化していることも少なくありません。当時の開発者がすでに退職していることも多いため、レガシーシステムの保守管理ができる人は限られているのが現状です。
この問題は年月を経るごとにどんどん深刻化していき、保守管理に必要なノウハウが消失することによる悪影響は、より顕著になっていくと考えられます。このような状況では、レガシーシステムにトラブルが発生した際にどこから手をつければよいのか分からず、事業継続に大きな支障をきたす恐れもあります。
社内リソース圧迫による労働環境の悪化と企業競争力の低下
レガシーシステムの維持・運用には非常に手間がかかり、トラブル対応に追われることも少なくありません。レガシーシステムが存在すると、維持・運用でIT部門の業務が逼迫し、労働環境の悪化にもつながります。
昨今ではDX推進も経営戦略の一環として非常に重要視されていますが、このような状況ではDXに取り組む余力はありません。レガシーシステムはAIやIoTといった最新技術への適応が難しいため、これを放置していると技術革新の流れから取り残され、企業競争力が低下してしまう恐れもあります。
2025年を迎える前に求められる働き方改革
「2025年の崖」に加え、コロナ禍に一気に広まったリモートワークへの需要により、ITを軸にした働き方改革への取り組みは、一層の重要性を帯びつつある状況です。とりわけ企業が喫緊に取り組むべき課題としては、次のような改革が挙げられます。
システム老朽化対策
まずはシステムの老朽化対策が必要です。
対策としては、システムのクラウド化が有効です。クラウド化により、企業は常に最新のテクノロジーを利用することが可能となり、システムの更新やスケールアウトを迅速に行え、老朽化からくるリスクを大幅に低減できます。
システム老朽化対策は、リモートワークの円滑化やコラボレーション基盤の構築を図るうえでも必要な取り組みです。
リモートワークの円滑化
コロナ禍をきっかけにリモートワークは社会へ一気に広がりました。
企業がリモートワークに対応するためには、業務プロセスの見直しや情報システムの変革に取り組む必要があります。そのときに問題となるのが、紙の使用を前提にした従来の業務体制とレガシーシステムです。
紙による情報共有がリモートワークの弊害となることは容易に想像ができます。コロナ禍を機にペーパーレス化に着手した企業は数多くありますが、レガシーシステムについては盲点になりがちです。レガシーシステムは古い技術で構築されていることが多く、システムスペックやセキュリティ面などの観点から、リモートワークに対応できない可能性があります。
したがって、企業としてはシステム老朽化対策を通じて、リモートワーク環境の整備とペーパーレス化を一体的に進める必要があります。
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コラボレーション基盤の構築
働き方改革を実現するには、場所や時間に縛られずに円滑な情報共有や連携、コミュニケーションを可能にするコラボレーション基盤の構築が重要です。
ビジネスチャットやWeb会議システムを活用しながら、クラウド上でリアルタイムにファイルを共同編集できるような体制を整えられれば、リモートワークでもオフィス勤務と同じように働くことができます。
コラボレーション基盤の構築は、ビジネスの成長と変革を促進する原動力にもなります。多くの日本企業は、伝統的に業務フローやシステムの構築に際して部門最適化を重視してきました。しかし、これが進みすぎた結果、現在ではシステムや情報がサイロ化し、全体としての効率性や一貫性が失われる弊害も表面化しています。さらに、現在のビジネス環境では、パートナーやベンダーなど社外とコラボレーションする場面が増えてきているので、社内向けのクローズドなシステムだけでは対応が難しくなりつつあります。
こうした新たな課題やニーズに応えるためには、まず従来の老朽化・サイロ化したシステムを刷新し、より情報共有や連携に長じたクラウドへの移行を進める必要があります。そのうえで、クラウド上でのコンテンツ管理やコミュニケーションツールの活用を積極的に行い、安全かつ効率的にコラボレーションを行える基盤を構築することが重要です。
働き方改革を見据えたシステムリプレース
働き方改革の実現に向けてITインフラを整備するには、単なるモダナイゼーションを超えた取り組みが求められます。リモートワークの導入は、単一のシステムを最新化すれば済む課題ではありません。多様な働き方や変化するビジネス環境に適応するためには、全体としてのシステムリプレースに取り組むことが重要です。
「2025年の崖」への対応は、さまざまな面からアプローチが可能です。特にコンテンツ管理の側面から見ると、「Box」のようなクラウドサービスの導入は、情報の一元管理やセキュアなリモートアクセスを実現し、効率的な業務遂行をサポートする効果が期待できます。
次世代システムの考え方
「2025年の崖」を迎えるにあたり、業務システムのリプレースが多くの企業で進行しています。その際、場当たり的にツールを更新するのではなく、業務改善や価値創出を目指すための明確な方針を立てることが必要です。
特にコンテンツは各業務システムとの関連性が非常に高く、ひとつのシステムの変更が他システムにも影響を及ぼすため、全体の設計を事前にしっかりと考えなければいけません。具体的には、次の3要素に着目することが、現代のコンテンツ管理においては重要です。
- 社内外のコラボレーション
現代はオープンイノベーションの時代です。部門横断型・会社横断型の連携・協業を進めるため、組織の垣根を越えたコラボレーション基盤の構築が求められています。 - コンテンツの解放
既存のサイロを打破し、コンテンツを自由に共有・活用できる環境を構築することが、働き方改革や新しい価値創出の鍵となります。 - 情報ガバナンスの強化
リモートワークや社内外のステークホルダーとのコラボレーションを推進する際には、データ保護やアクセス制御を的確に行い、情報ガバナンスを強化できるシステムを活用することが必要です。
これらの3要素を具現化するツールとしては、「Box」が挙げられます。「Box」は、次世代の業務システムのハブとして機能し、人・企業・システム・業務をつなぎます。「Box」の詳しい情報については、下記のページをご参照ください。
まとめ
「2025年の崖」が目前に迫り、多くの企業がポストコロナにおける働き方改革に取り組む中、システムリプレースの重要性はますます高まっています。クラウド化を軸にしたシステムリプレースは、レガシーシステムや情報のサイロ化など既存の課題を打破し、社内外のコラボレーションによりビジネスの成長を促進する鍵にもなります。本記事を参考に、ぜひ「2025年の崖」を乗り越えてください。
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