ビジネスにおいて、社内文書の作成は欠かせない業務のひとつです。しかし、作成に多くの時間をかけ、かえって生産性の低下を招いているケースが散見されます。作成を効率よく行うためには、種類ごとの書き方のポイントを押さえ、承認フローを素早く回すことが大切です。本記事では、社内文書の種類や書き方のコツをまとめています。
社内文書の基本形は6種類
社内文書とは、社内で使用することを目的に作成される書類です。主に社内での指示や連絡、報告に使用します。代表的なものとして、以下の6種類が挙げられます。
1. 上層部へ意見を述べるための書類
自身が決裁権を持たない業務内容について、管理者や幹部に「決裁・承認」を求めることを目的とします。主な書類は以下の通りです。
- 上申書
権限を持たない業務事項に意見し、希望を申し述べて検討や決裁を求めます - 稟議書
実施案について決裁を求めます - 提案書
企画や新商品の提案を行います - 計画書
事業計画を記載します
2. 報告するための書類
上層部に対して何らかの情報を報告する際に必要であり、主に以下の書類が使用されます。
- 通常報告書
出張、会議、セミナー状況を報告します - 定期報告書
定期的に日次、週次、月次で活動を報告します - 成果報告書
調査、販売、企画結果を報告します - 異常時報告書
事故やトラブルの内容およびその処置や対策を報告します
3. 指示・指令を出すための書類
上層部から部下に向けて発信する際に用意する書類であり、以下の4つが代表的です。
- 通達
組織に向けての指令や指示を出します - 指示書
業務上の指示を出します - 辞令
人事上の異動命令(例:配置転換、昇格)を出します - 業務命令書
何らかの業務遂行を命じます
4. 届出・申請のための文書
上層部に対して勤務に関する届出を発信することを目的として、以下の書類が使用されます。
- 勤務関係の書類(例:休暇届)
- 業務関係の書類(例:出張申請書、旅費精算書)
- 身上関係の書類(例:住所変更届、出産届)
- 顛末書(例:会社へ迷惑をかけた理由・お詫び)
- 進退伺いの書類(例:退職届)
5. 記録・共有するための書類
社内で記録情報を共有する際に求められるものであり、主に以下の書類が該当します。
- 議事録
会議における議事の記録を取ります - 人事記録
人事に関する記録(例:履歴書、人事考課書類)を出します
6. 連絡・調査するための書類
社内で情報を水平展開する際に必要な書類であり、代表的なものは以下の通りです。
- 通知文
会社で決定した事項を通知します - 回覧文
行事の開催や各種お知らせの回覧や提示をします - 案内文
行事(例:社員旅行、レクリエーション、イベント)を連絡します - 照会文
業務に関する問い合わせをします - 回答文
照会文に対する回答をします - 依頼文
業務に関すること(例:資料提出)の依頼をします
社内文書の種類は多岐にわたる上、ビジネスパーソンは日常的にこれらの文書を作成する必要があり、多くの時間を費やしています。正しい書き方を覚えて、素早く社内文書を作成することが重要です。
社内文書の基本書式|レイアウトと必須項目
社内文書を作成する際は、必要な情報をできる限り簡潔にまとめることが大切です。基本的な構成は、前付け→本文→付記の順番で成り立っています。それぞれの項目について解説します。
1. 前付け(まえつけ)
前付けとは、いつ・誰が・誰に宛てて書いた文書なのかを示した部分です。基本的に以下の4つが含まれます。
- ①文書番号
公文書として管理・識別するために表示される番号です。社内ごとにルールが異なるため、それに 従いましょう。 - ②発信日時
社内文書を作成した日ではなく、文書を発信する日を記入しましょう。 - ③宛先・受信者名
所属部課や職名、氏名、敬称を記入します。 - ④発信者名
所属部課や職名、氏名を記入し、必要に応じて押印します。
2. 本文
本文は、社内文書で最も伝えたいことが書かれている部分です。前付けの後に続けて、以下の内容を記入します。
- ⑤件名
「○○についての文書」とタイトルを簡潔に示します。ケースによっては、件名の末尾に文書の種 類(例:【提案】や【報告】)を付けることがあります。 - ⑥主文
社内文書はビジネスにおける身内でやり取りするため、時候の挨拶は不要です。「標記の件につき まして」のように、すぐに主文に入る内容から書類を作成します。 - ⑦記書き
文書の中で最も伝えたいことを箇条書きで書きます。
3. 付記(ふき)
主文の後に補足したいことを、付記として設けます。主な項目としては以下の三つです。
- ⑧追記
添付書類や追って書き、内容の根拠になる資料を添付します。 - ⑨末尾
文章の終わりは「以上」で簡潔にまとめます。 - ⑩担当者名
所属部課、担当者名、内線番号を記入します。
社内文書の書き方|基本のルール
社内文書を作成する目的は、「大切な情報を、素早く正確に、特定のメンバーや組織全体で共有・理解すること」です。企業規模が大きくなるほど社内文書の必要性が増し、できる限り早く、正確な情報を伝達する必要があります。社内文書の書き方のポイントは、以下の5つが挙げられます。
1. 受信者・発信者の所属部課と職名を出す
社内文書を作成する上で意外に忘れてしまうのが、書類を作成した発信者と、それを読む受信者の所属部課や職名を記載することです。「誰が誰に宛てた書類なのか?」が明確ではない場合、情報が適切に伝わりにくくなります。相手の立場によって変わる敬称の付け方については、以下の通りです。
役職者に対する敬称
役職のある上司に対しては、失礼にならないよう「〇〇部長」「〇〇マネージャー」の書き方が一般的です。あるいは、「部長 〇〇様」のように役職と氏名をセットで書きます。
先輩など目上の人に対する敬称
上司ではないものの入社年度が自分より早い先輩や目上の人には、「〇〇様」や「〇〇さん」と書くことが基本です。「〇〇さん」は親しみが湧きやすいため、その後のコミュニケーションがよりスムーズになるかもしれません。
後輩や部下など目下の人に対する敬称
自分より後に入社してきた後輩や目下の部下へ文書を出す際には、「〇〇様」「〇〇殿」「〇〇さん」といった敬称を付けましょう。会社によってルールが異なるため、過去の社内文書を参考にします。
複数の相手に対する敬称
社内文書では、複数の相手に向けて発信することがよくあります。その場合は個人を特定できないため、宛名は「〇〇各位」と書きましょう。「〇〇各位」は、役職を問わずに使用できるので便利です。
2. 挨拶文を省き主文に入る
書き出しの時候の挨拶は省きましょう。社内文書は顧客企業に提出する文書ではないため、体裁を整える必要はありません。書類ごとに挨拶文を入れる場合、毎回異なる挨拶文を考えなければならず、その時間が無駄になってしまいます。上層部が主体となって、社内文書への挨拶文の挿入禁止を指示することが好ましいです。
3. 文体は敬体(です・ます調)を使用する
社内文書の文体は、基本的に敬体を使用します。常体(だ・である調)で作成した書類は、敬体で作成した書類より読みにくい傾向にあり、情報伝達のスピードが低下してしまいます。
4. 敬語表現は最小限にとどめる
社内文書を作成する際は、敬語表現を最小限にとどめることが大切です。特に注意したいのは、「いただきます・いただきたいです・いただく」の文言です。ビジネスパーソンの中には、この言葉を多用する人が少なくありません。書類の中に頻繁に書かれていると文章が冗長化し、内容が頭に入りにくくなるため、使いすぎないように意識しましょう。
5. 箇条書きを使用して簡潔に書く
内容をすっきりと読みやすくさせるためには、箇条書きを積極的に使用します。文章の冗長化を防ぎ、より内容がわかりやすくなります。
以上が、社内文書を作成する際の基本的なルールです。これらのポイントをおさえておくと、読み手にとって理解しやすい書類を作成できます。
社内文書を書く時のコツ
社内文書は普段見慣れているものの、実際に書き始めてみると、手が止まってしまう方が多いのではないでしょうか。ここでは、書き方のコツを紹介します。
1. 結論を最初に明記する
結論は最初に明記しましょう。読み手目線で結論ファーストの書き方を心がけることが、最低限のビジネスマナーです。まずは結論を頭に入れた上で、具体的な内容を読み進めれば、全体的に理解しやすくなり、承認や回答への対応がスムーズになります。
2. 用件は1つに絞る
1つの社内文書には、原則1つの用件のみ書きます。2つ以上の用件が含まれていると、一番伝えたいことがぼやけてしまい、結局重要なことが伝わりません。社内で伝達したい情報が複数ある場合は、用件ごとに文書を分けて発信する方が無難です。
3. 一文一義を意識して書く
1つの文には1つの事柄のみを含むようにします。読み手目線に立ち、できる限り短くシンプルで、わかりやすい文章を書くよう心がけましょう。適宜、段落や改行を入れることで読みやすさが向上します。
4. 事実と意見を混同しない
事実を正確に伝えるために、発信者の意見を混同せずに分けて書きます。何らかのジャッジを行う場合は事実を求められますが、課題の改善策を検討する場合は現場における意見が重視されます。いずれの情報を求めているのかはケースバイケースのため、明確に線引きして、書き方を工夫しましょう。
5. 曖昧な表現を使用しない
社内文書では、できる限り具体的に表現することが大切です。「集客数が多かった」という表現では、どのくらい多かったのか基準がわかりません。獲得したお客様の人数を正確な数値で示すことにより、客観性が増し、より説得力のある文書になります。
6. 5W3Hを意識して書く
文章に抜け漏れがないよう、以下の5W3Hに沿って書きましょう。論理的に構成された文章は、読み手にとってスムーズに理解しやすくなります。
- What=何を(課題)
- Why=どうして(動機)
- Who=誰に対して(対象)
- When=いつまでに(時期、時間)
- Where=どこで(場所)
- How=どのように(手段)
- How Many=どれくらいで(規模)
- How Much=いくらで(価格)
7. A4用紙1枚に収まるように書く
社内文書には簡潔さが求められます。目安としては、A4用紙1枚に収めることが理想です。内容を精査し、必要な情報のみ端的に書くよう心がけます。もし1枚に収まらない場合は、ページ番号を付与して、別紙として用意するのがおすすめです。
8. 早くて正確な方法で共有する
作成した社内文書が受信者へ共有される際の重要なポイントは、迅速さと正確さです。共有が遅れたり、内容が不正確だと、ビジネスに大きな損失が生じる可能性も十分あります。
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情報伝達ツールとして機能する社内文書を作成した後、次に大切なのはいかに効率よく書類を管理し、回覧できるかです。作成した社内文書をスムーズに発信できなければ、情報伝達のスピードが低下します。特に決裁者の承認が必要な社内文書に関しては、承認フローをスムーズに回すことが重要なポイントです。
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社内文書の書き方のポイントを理解できたら、ぜひBoxの導入を検討して、文書保管や社内回覧を効率よく行いましょう。
まとめ
社内文書には、基本的に指示や連絡、報告の目的が含まれており、書き方に一定のルールがあります。読みやすいよう、結論ファーストで書くことを意識して作成することが大切です。
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