2025年6月10日〜11日の2日間にわたり、年次フラッグシップイベント「BoxWorks Tokyo 2025」をリアルとオンラインのハイブリッドで開催いたしました。今年のテーマは「Content + AI コンテンツの力で、ビジネスに革新を」。そのコンセプトを体現するさまざまなセッションが行われました。
Day1の会場には1,700人を超える方にご来場いただき、オンラインで行われたDay 2と合わせると4,200人以上の方にご登録いただきました。ここでは、1日目に行われたオープニングキーノートのハイライトの後編をお届けします。(前編はこちら)
Boxが目指す「インテリジェントコンテンツ管理プラットフォーム」(ICM)とは?
「最近Boxがリリースした新機能と、AIファースト戦略はどう関係するのか?」「なぜ他のツールではなく、Boxを選ぶ意味があるのか?」この素朴だが核心を突く疑問に答えるべく、次に登壇したのがBox Japan エバンジェリストの浅見 顕祐です。
Box Japan エバンジェリスト 浅見 顕祐
なぜBoxなのか? 4つの「Why」で解き明かす
アーロンのプレゼンテーションを受け、なぜBoxなのかという疑問を「Why」の観点から解き明かしました。
- なぜAIエージェントがワークスタイルを変革するのか?
- なぜBoxは新機能をリリースしたのか?
- なぜBoxが選ばれるのか?
- なぜコンテンツとAIの連携が重要なのか?
これらの答えとして、まずはAIエージェントのユースケース「ディープリサーチ」を紹介しました。たとえば、「契約内容について考察して、分析結果をまとめなさい」と契約分析エージェントに指示すると、自律的な判断でAIエージェントが他のエージェントと連携し、質問を投げて情報収集、推論を重ねて高精度な分析レポートを自動生成する仕組みを説明しました。また、AIエージェントは対話型アプリケーションだけでなく、業務フローの自動化にも大きな期待が寄せられています。
Boxは2025年1月から4月にかけて、このようなAIエージェント時代に対応した新機能を続々リリース。これらをフル活用できる「Box Enterprise Advanced」プランを2025年1月から提供開始しました。
具体的な新機能の活用例として、「Box AI Studio」によるカスタムAIエージェント作成機能では、「あなたは法務の専門家ですよ」「リスクのある文言を見つけたら指摘しなさい」といった具体的な指示を事前に設定することで、「第五条と第十条に問題があります。こういうふうに変えたらいいですよ」という的確なアドバイスを提供できるようになります。
他にも、業務委託契約書をAIに解析させると、委任者情報・受任者情報・契約期間・金額などのキー情報をメタデータとして自動的に抽出し、意味のある構造化情報として管理することが可能になる「Box AI抽出エージェント」。メタデータによる可視化やステータス管理などをできるノーコードアプリ「Box Apps」。文書のテンプレートをあらかじめ定義しておき、外部データを取り込んで自動で文書を生成する「Box Doc Gen」。フォーム入力から業務ワークフローを開始できる「Box Forms」など、実際の操作デモンストレーションとともに紹介されました。
なぜコンテンツはサイロ化するのか —— 根本問題への洞察
次に、浅見はコンテンツサイロ化の根本原因を説明しました。DX前後の状況を4つの領域(定型業務/非定型業務 × 社内/社外)で分析すると、Microsoft 365、Google Workspace、Slackなどさまざまなツールの導入により、一見進歩したように見えても、実際にはコンテンツの散在状況は改善されていないことが明らかになります。
この状況が生まれる原因は「部分最適」。つまり、各領域で個別に課題解決を図る結果、全体としてのコンテンツ統合が実現されないのです。では、なぜBoxがこの問題を解決できるのか?浅見は4つの理由を挙げました。
- 中立性: 1500種類以上のさまざまなパートナーソリューションとの連携が可能
- セキュリティ: 20年間ビジネスユースに特化してきた堅牢な機能
- 統合性: 強固なAPIによるシステム統合能力
- 経済性: 容量無制限ライセンスによるコスト効率
これらの要素が組み合わさることで、「全体最適の観点でのコンテンツ一元管理」が実現されるのです。
インテリジェントコンテンツ管理(ICM)の新時代
セッションの締めくくりで、浅見は「インテリジェントコンテンツ管理」を改めて紹介しました。AIがコンテンツからインサイトを抽出し、重要なデータを構造化することで、コンテンツは「単なる使い捨ての情報」から「再利用可能な情報、そしてナレッジの源泉」へと変貌を遂げています。
重要なのは、「信頼できる情報源がなければ、AI活用は促進できない」(Single Source Of Truth)ということです。AIがコンテンツ活用を変革する一方で、そのAI活用を促進するのは、コンテンツという情報源がいかに信頼できるかにかかっているのです。
Boxは、コンテンツのライフサイクルステージに合わせた包括的な管理機能である、共同作業、バージョン管理、共有、再利用、アーカイブ、アクセスコントロール、監査ログをオールインワンで提供することで、この信頼性を担保しています。
この「インテリジェントコンテンツ管理」という新しいパラダイムは、単なる技術革新を超えて、企業の働き方、意思決定プロセス、競争力の源泉を根本的に変革する可能性を秘めているのです。
AIエージェント時代の到来と共に、コンテンツ管理の概念そのものが再定義される今、私たちは新たな選択を迫られています。従来の部分最適なアプローチを続けるか、それともBoxが提案する全体最適な統合プラットフォームへと舵を切るか ——その選択が、今後の競争力を大きく左右することになるのです。
「働き方の未来を創る」を実践するリーディングカンパニーも登壇
オープニングキーノートでは、業界最先端で「働き方の未来を創る」を実践するゲストスピーカーによる講演も行われました。
トヨタ自動車株式会社 ITマネジメント部長 西村 崇様には「トヨタのこれからのDX ― Mobility3.0に向けて―」と題して、モビリティーカンパニーへの変革に向けた全社を挙げてのDX化の取り組みをご紹介いただきました。そして、農林中央金庫 理事常務執行役員 ITデジタル統括責任者(CI&DO)半場 雄二様には、文書自動作成や生成AIなどのBox新機能(Enterprise Advanced)を用いた利活用事例「農林中央金庫が目指すBox利活用の将来像」をご紹介いただきました。
キーノートの全編は、BoxWorks Tokyo & Osaka 2025サイトにて7/31までアーカイブ視聴いただけます。
左: Box Japan 社長執行役員 佐藤 範之
右: Box 共同創業者兼CEO アーロン・レヴィ(Aaron Levie)
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