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BoxWorks Tokyo 2025 イベントレポート ~ Day-1 Microsoft x Box対談

生成AI活用の進化 : MicrosoftとBoxが切り拓く非構造データ活用の未来

 公開日:2025.06.26  Box Japan

BoxWorks Tokyo 2025の1日目の午後は、ユーザー企業様のBox活用事例や働き方の未来を考えるセッションなど35を超えるプログラムが開催されました。

その中から来場者からの反響が大きかった「生成AI活用の進化 : MicrosoftとBoxが切り拓く非構造データ活用の未来」をピックアップし講演内容をお伝えします。

本対談では、MicrosoftとBoxが、社内に眠っている非構造化データの活用を通じて企業のDX推進をどのように支援できるのかについて議論しました。

3K1A5275右: 日本マイクロソフト株式会社 Microsoft Innovation Hub シニアテクニカルアーキテクト 吉田 雄哉氏
左: 株式会社Box Japan 上席執行役員 安達 徹也

生成AI導入の現状:技術理解とUX設計の重要性

日本マイクロソフト株式会社(以下、Microsoft)でMicrosoft Innovation Hub シニアテクニカルアーキテクトを務める吉田 雄哉氏と、株式会社Box Japan 上席執行役員の安達 徹也による対談形式のセッション。吉田氏は「エンジンとしての生成AI機能」と「サービスとしての生成AI」が混同されがちであることを指摘し、話を始めました。

OpenAI社のLLM(大規模言語モデル)であるChatGPTの登場から2〜3年が経過し、AIチャットに驚く人はほぼいなくなりましたが、まだ組織によってAIの理解に差があるのが現状だと言います。そこで改めてAI活用の前提となる知識を、進化の過程を踏まえた上で説明いただきました。

1. 言葉による指示(プロンプト)での動作

LLMは短い文章の指示では解釈の余地が生まれ回答が不安定になるため、詳細な状況説明を含めることで、回答の精度を高め、目的に合った結果を得やすくなります。

2. RAGによる企業データ活用

自社の業務に活用するには、LLMの事前学習に含まれていない企業固有の情報を活用する必要があります。そこで登場したのがRAG(検索拡張生成)です。吉田氏は「虫眼鏡(検索機能)」と「歯車(制御機能)」という比喩で説明し、企業内の情報を検索可能な状態にし、適切な情報を取得・活用できる仕組みを説明しました。

3.Function CallingとAIエージェントの導入・自律化

さらなる発展として、システム間連携を可能にするFunction Callingがあります。リアルタイムデータ取得や他システムへの入力処理などが可能になり、これらの機能を組み合わせることで、情報検索から処理まで一連の業務プロセスをカバーするAIエージェント化が実現します。

プロセスとして考えると・・・

このようなAIの基礎知識を踏まえた上で、吉田氏が最も重要視するのは、技術的な仕組みの構築とユーザー体験(UX)設計のバランスだといいます。Boxを含め、各種サービスは技術的な機能が日々拡張されているため、社内準備の進め方、利用者のスキル向上、対象業務プロセスの選定を含めた包括的な検討など、まずUX観点からの整理を行い、その上で技術的な準備を進めることがAIの導入を成功させるには重要だと述べました。

AI時代のパートナーシップと非構造化データの活用戦略

MicrosoftとBox、両社の連携について吉田氏は「とても重要なパートナーの1つ」と位置づけ、CopilotエコシステムにおけるパートナーとしてBoxの名前を挙げていただきました。

さらに、Box AIのインサイトをMicrosoft Copilotに渡すことにより高度な連携へと進化を遂げている今、Microsoft 365 Copilotが統一された窓口として機能することの価値を説明。「社内で複数のシステムやサービスを使っている際、入り口が1つだと楽」であり、Boxの対応により「タブを変えたり、開き方を変えたりする必要がない」という、シームレスな体験が実現できると評価しました。

ここで、Box Japanの安達からBox AIのアーキテクチャと設計の思想について説明がありました。

「Boxの20年の歴史を振り返ると、ファイル共有・クラウドストレージから始まり、コンテンツ管理とセキュリティ機能を充実させてきました。2024年からは生成AIを活用し、ビジネスプロセスとインテリジェンス領域に非連続的に拡張しています」

Box AIの技術的特徴

  • Vector検索技術による関連情報の精密な抽出
  • マルチLLM対応による選択肢の確保
  • Box AI StudioでのカスタムAIエージェントの構築
  • A2A(Agent2Agent)プロトコル対応による他社AIエージェントとの連携

特に注目すべきは「すべてのAIはBox AIで」ではなく、「他社AIとの連携」を重視する設計思想です。これにより、レディメイドのRAG環境とAIエージェント機能を提供しながら、柔軟なエコシステム構築を可能にしています。

また、Boxが提案するマルチエージェント構成では、情報エンドポイントに近い専門AIエージェントと、ユーザーに近い統合AIエージェントという階層構造を採用。ここで重要なのが、構造化データと非構造化データの統合的な取り扱いです。

吉田氏は構造化データ(位置情報、センサー情報、データウェアハウス、検索インデックスなど)の重要性を認めつつも、「知恵」や「緩いデータ」など、フォーマットに収まらない情報の価値を強調。そこで、構造化データをデータレイクに、非構造化データを「コンテンツレイク」としてBoxに一元化することで、アーキテクチャをシンプルにし、上位のAIエージェントの負荷を軽減するアプローチを「正攻法」と評価しました。

AIエージェント時代になっても変わらないデータの重要性

両社の連携は、技術的な統合を超えて、AI時代における企業データ活用の新しいモデルケースになりつつあり、特に非構造化データの価値を最大化しながら、既存システムとの連携を保つアプローチは、多くの企業にとって参考になる戦略と言えるのではないでしょうか。

AI活用成功の鍵は、技術とマインドセット両輪の取り組み

日本マイクロソフトの吉田氏は、現在AIが最も活用されているのは開発者層だと指摘します。GitHubにアップロードされるソースコードの4割が自動生成される時代になるなど、ベンダー各社の機能開発スピードが1〜2年で劇的に向上しているといいます。

しかし、この急速な進化は企業にとって選択肢の増大と判断の難しさをもたらし「選択肢が山のようにあり、差がよく分からない」状況が生まれています。この新しい課題に直面している企業にとって大切なのは、システム整備と組織文化の醸成だと言います。

システム整備:DXの延長線上にあるAI

どのサービスを使い、正しい情報が入っているのかを確認するデータガバナンス。新しいツールばかりに注目するのではなく、古いシステムが放置されている問題を解決することによる、DXの基盤整備が重要です。吉田氏の「サービスの選択に集中しがちで、足元のことがおろそかになっている会社が多い」という指摘は、多くの企業が抱える課題を的確に表しているのではないでしょうか。

文化醸成:プロンプト文化への転換

技術面と同様に重要なのが、組織文化の変革です。従来の「ボタンを押して完結」するソフトウェアとは異なり、生成AIでは「指示を出す行為」が成功の鍵となります。しかし現実は、キーワード検索文化が浸透しており多くの人がプロンプトを書けなかったり、AIが生成した資料を恥ずかしそうに会議に提出するなど、AIを使うことへの抵抗感が根強く残っています。

吉田氏は、AI活用の文化醸成をリモートワークの普及と比較し、コロナ以前はリモート会議に抵抗感がある組織もあったが、現在は完全に当たり前となったと説明。AIの活用も同様の文化的変革が必要で、「当たり前に使う」感覚の醸成が重要だといいます。

AI活用に積極的な企業は、システム整備だけではなく文化醸成の重要性を理解し、一気に全社導入を実施しています。MicrosoftもBoxも、技術面の進化を進める一方、企業においては早期の実践を通じて文化の土壌を作ることがAI時代における競争優位の源泉となるだろうというメッセージが送られました。

「生成AI活用の進化 : MicrosoftとBoxが切り拓く非構造データ活用の未来」の全編は、BoxWorks Tokyo & Osaka 2025サイトにて7/31までアーカイブ視聴いただけます。

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