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バスワードを超える: 企業におけるオープンウェイトAIの活用

 公開日:2025.09.05  Box Japan

「オープンソースモデルが話題になっています。しかし、オープンソースモデルとは何なのか、そして通常のモデルとどう違うのでしょうか?」ホストのミーナ・ガネーシュ(Meena Ganesh)が、AI Explainer Seriesの最新エピソードで、Boxの最高技術責任者(CTO)であるベン・クス(Ben Kus)とともにこの問いに迫ります 

今日のAI環境は変化し続けており、企業はクローズドなプロプライエタリモデル、オープンウェイトモデル、あるいはそのほかのオープンソースの代替モデルを活用するかどうかについて重要な決断を下さなければなりません。これらの選択肢の主な違いを理解することは、制御、コスト、運用要件のバランスを取りながら、AIを効果的に活用するために不可欠です。

主なポイント

  • クローズドAIモデルは「ブラックボックス」として動作し、強力なパフォーマンス発揮しますが、内部メカニズムに関するユーザーへの開示は限定的です
  • オープンウェイトAIモデルは透明性と制御性を提供します。ユーザーがモデルのコアファイル(ウェイト)をローカルにダウンロードして実行できるからです
  • オープンウェイトモデルを採用することで、カスタマイズ性と自律性が得られ、独自のインフラストラクチャ上でAIツールをファインチューニングして実行できるようになります
  • 無料とは必ずしも無料とは限りません。サーバーや電気代などの運用コストにより、オープンモデルはクローズドモデルよりも高価になる可能性があります
  • オープンウェイトAIモデルは、独自仕様のソリューションに代わる重要な選択肢となり、ベンダーロックインの防止に役立ちます

オープンモデルとクローズドモデルの違い

「モデルは、2つのカテゴリに分類できます。1つは、プロプライエタリモデル。つまりクローズドモデルで、実際にはどのように動作するかがわかりません。いわばブラックボックスです」と、ベンは言います。

OpenAI GPT-5Anthropic Claudeはこのカテゴリーに属し、最小限の情報開示と堅牢なパフォーマンスを提供します。

より高度な制御とカスタマイズを求める企業にとって、オープンソースモデルは開発者向けのオープンコードと同様に、独自のメリットを提供します。誰もがダウンロードし、ローカルで実行できます。オープンソースモデルには、MeadowLlamaMistral AIGPT OSSなどがあります。

「オープンモデルも同じような考え方から生まれていますが、オープンソースのメリットのすべてが必ずしも当てはまるわけではありません。そのため、これらのモデルをオープンソースと呼ぶ代わりに、オープンウェイトと呼んでいます」と、ベンは言います。

名前に込められた意味とは?

オープンウェイトという用語は、オープンモデルの技術的本質を反映しています。オープンモデルのイノベーションの大部分が、モデルパラメータ、つまり「ウェイト」を含む巨大なファイルにあります。

MySQLLinuxといった馴染みのあるオープンソースデータベースを開くと、数百万行(あるいは数千万行)のコードが見つかります。これには、この種のオープンソース製品を構成するドライバーやそのほかの要素をすべて含まれます。FacebookGoogleのような非常に巨大なアプリケーションプラットフォームでは、コード行数は数億行に達することもあります。

オープンソースAIモデルでも、そのコード行数が指数関数的に増えると思われるかもしれません。

「オープンソースAIモデルはこれまでに作られた中で最も革新的なテクノロジーの1つなので、大きくなると思うでしょう。しかし、基礎モデルを見ると、実際には数千行のコードしかありません」と、ベンは説明します。

しかし、大きな問題は、このモデルにはウェイトと呼ばれる巨大なファイルが付属していることです。「これらのモデルの価値のほとんどは、このウェイトにかかっています。ファイルを開くと、浮動小数点数の羅列が目に入ります」と、ベンは続けます。

実際、これらのウェイトは数百ギガバイトにも達することがあります。たとえば、OpenAI GPT OSSのウェイトは240ギガバイトにもなります。この巨大なファイルは、オープンウェイトモデルの強みであると同時に課題でもあります。

完全にオープンソースではないが、それでも強力

​「オープンソースソフトウェアのメリットの1つは、その動作を正確に把握できることです」と、ベンは言います。 

コードをある程度理解している人にとっては、オープンソースソフトウェアは読みやすいものです。しかし、オープンウェイトモデルは少し異なります。  

「ウェイトだけ見ても、あまり意味がありません。オープンであることは素晴らしいですが、ウェイトは誰にも読めません」と、ベンは説明します。

では、オープンウェイトAIのメリットは何でしょうか? 「人々が熱狂する理由の1つは、モデルを簡単にダウンロードして実行できることです。さまざまな種類、サイズのモデルが、さまざまなベンダーから提供されます。そして、完全に制御できます」と、ベンは言います。

基礎モデルを取得し、トレーニングを実行し、さまざまな手法を追加し、ウェイトの一部を更新することで、これらのモデルをファインチューニングすることもできます。  

「ゼロから自分でやると、とてつもなくコストがかかります。これらのモデルをベースに構築すればいいのです」と、ベンは言います。

ミーナが指摘するように、十分な性能があれば、あらゆるデバイスでクローズドモデルを利用できます。ただし、インターネット経由でモデルにアクセスする必要があります。インターネット接続がないとモデルを実行できず、モデルの独立性も確保できません。オープンウェイトAIモデルなら、それが可能になります。

ブラックボックスをファインチューニング

クローズドモデルも、ファインチューニングできます。サンプルを入力すれば、モデルがアップデートされます。しかし、クローズドモデルでは、ベンダーが新しいモデルを作成し、それをユーザーに提供します。  

「依然としてブラックボックスです。どのように動作するのか、実際にはわかりません」と、ベンは言います。

オープンウェイトモデルは、より高い自律性を求める企業により多くの制御を提供します。オープンウェイトモデルなら、モデルを自社でファインチューニングして実行できます。  

最終的には、企業は優先順位を判断する必要があります。クローズドなプロプライエタリモデルは、サービス指向のアプローチを提供し、大手AIベンダーがユーザーに代わって技術的な運用を担当します。一方で、オープンウェイトモデルを社内で実行することで、企業はAIツールの所有権、カスタマイズ性、およびより深い制御権を得ることができます。

「無料」が招く誤解

オープンウェイトモデルの大きなメリットの1つは、無料であることです。

それは、ある意味において無料です。ライセンスソフトウェアではありませんが、モデルを実行する必要はあります。オープンウェイトモデル導入の障壁は低いように思えるかもしれませんが、GPUサーバーなどの運用コストがすぐに膨らむ可能性があります。

 Uberに乗るか、それとも無料の車を受け取るか、どちらを選びますか?」と、ベンは例えます。

どこへ行くにも有料サービスに頼るよりも、無料の車に乗って運転する方が賢明に思えるかもしれません。しかし、一歩引いて車の総所有コストを評価すると、計算式が変わります。Uberなら、保険料もガソリン代も駐車場代もかかりません。しかし、無料の車には多額の費用がかかる可能性があります。

「この規模でインフラストラクチャを運用する場合も、非常に似ています。こうしたシステムの提供を受けて導入するには、サーバーや設置場所、電気代などを費用を支払う必要があります。通常、モデルは常時稼働しているわけではありませんが、いつでも使用できるようにするには料金を支払い続ける必要があります」 と、ベンは言います。

これらのコストは、クローズドモデルを単に使用するよりも高額になる可能性があります。主要なクローズドモデルの多くはかなりリーズナブルで、モデルの効率化に伴い利用料金が下がってきています。「自社で『無料』で運用するよりも、安く利用できる場合が多いです」 と、ベンは言います。

Uberと無料の車の例えに戻りましょう。無料の車のもう1つのデメリットは、一度契約すると、その車に縛られてしまうことです。メーカーは常に新しいモデルをリリースしています。これはクローズドモデルにも当てはまります。

セキュリティの課題

オープンウェイトモデルは、自分で実行するため、完全に制御できます。任意のサーバーで実行し、セキュリティパラメータを高度にカスタマイズして制御できます。 

「これはセキュリティ上の重要な考慮事項です。信頼できるベンダーやプラットフォームにホストされているモデルであれば、モデルの安全性とセキュリティが確保されていることに、多くの人が同意するでしょう」と、ベンは言います。

AzureGCPにデータを預けるのと同じように、AIをほかの場所にホストさせることで、AIを安全かつセキュアに実行できます。「どちらも選択でき、非常に安全にAIを実行する方法があるので、セキュリティ上の考慮事項は重要ではありません」と、ベンは示唆します。

オープンAIモデルを使用すべきか?

「オープンモデルが存在し、それを利用できる可能性があることを知るのは、素晴らしいことです。しかし、ほとんどの場合、実際にオープンモデルを利用する必要はありません。なぜなら、ほとんどの人にとって現在使用しているモデルの利用方法(クローズドプラットフォームやAPI由)が、依然として優れた選択肢だからです」と、ベンは締めくくります。

特殊なデバイスでAIを実行したい高度なAIユーザーや独自の決定要因を持っている場合は、オープンウェイトモデルが適しているかもしれません。安全なオープンモデルを提供する信頼できる企業向けプロバイダが多いあるので、ほとんどの場合、オープンウェイトモデルが適切な選択肢となります。

オープンウェイトモデルの登場は、業界全体、そして企業向けAI全般の進歩にとって非常に重要であると、ベンは強調します。オープンウェイトモデルは、AIエコシステムにおける透明性、イノベーション、市場競争にとって大きな前進を意味します。オープンモデルの存在は、企業にとって重大な懸念事項となるベンダーロックインを回避することもできます。

OpenAIGoogleのような企業がAIモデルのオープンウェイトバージョンをリリースするにつれて、顧客と競合他社の両方に利益をもたらす代替手段を生み出しています。オープンウェイトモデルの存在は、より活気に満ちた競争力のある業界を育むものであり、それは称賛に値します。

全エピソードを視聴する

これらのモデルを直接的に採用するにせよ、間接的な影響から恩恵を受けるにせよ、AIの進化においてこれらのモデルが重要な役割を果たすことは明らかです。「たとえオープンモデルを使用していなくても、業界全体としてオープン化への道筋を示しているため、オープンモデルが存在することに興奮を覚えるでしょう」 と、ベンは述べています。

この議論をさらに深く掘り下げてみたい方は、 AI Explainerポッドキャスト「オープンソースvs.オープンウェイト: 企業が本当に知っておくべきこと(Open source vs. open weights: What enterprises should really know)」をお見逃しなく。今すぐ視聴登録して、AIを組織や業界に統合するための実用的で実用的な戦略を学びましょう。

※このブログは Box, Inc 公式ブログ(https://blog.box.com/)2025年8月29日付投稿の翻訳です。
原文リンク: https://blog.box.com/beyond-buzz-making-sense-open-weight-ai-enterprise

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