あなたは、新商品開発プロジェクトの大部分を同僚に任せたいと考えています。しかし、どんなアシスタントでもいいというわけではありません。単に指示に従うだけでなく、何をすべきかを積極的に考え、計画を立て、あなた一人でできる以上の包括的な結果を出せる人でなければなりません。
あなたはすでにその同僚にアクセスできますが、それはあなたの部署の誰かではありません。実際、それは人間ではありません。
最新のAI Explainer Seriesポッドキャストでは、Boxの最高技術責任者(CTO)であるベン・クス(Ben Kus)とAI担当シニアプロダクトマーケティングマネージャーのミーナ・ガネーシュ(Meena Ganesh)が、AIエージェントを取り巻く大きな変革について議論します。AIエージェントは、単純な質問応答者から、明確な指示がなくても複雑で多段階の課題に取り組める自律的な問題解決者へと進化しています。
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AIエージェントは、単純な質問応答者から、明確な指示がなくても複雑で多段階の課題に取り組める自律的な問題解決者へと進化しています。
Box 最高技術責任者(CTO) ベン・クス(Ben Kus)
「AIエージェントの働き方に根本的な変化が起きていることに、人々は気づいていないと思います」と、ベンは言います。彼の言う通り、この変化はナレッジワーカーの日々の業務への取り組み方を根本的に変えるでしょう。
主なポイント
- AIエージェントは、単純な指示に従うものから複雑な結果を出す自律的な問題解決者へと進化しており、ステップバイステップのガイダンスなしに自身で計画立てられます
- 「AIツール」から「AI同僚」への移行は、ナレッジワーカーが自分でタスクを行うのではなく、人間を管理するのと同様に、複数のAIエージェントを並行して管理するようになることを意味します
- 今日のAIモデルは「考える」ことができ、計画の作成や、アプローチの反復、作業の確認、戦略の調整などができる熟練した専門家のように機能します
わずか数年でAIに訪れた3つの波
エンタープライズAIの今後の方向性を理解するために、その進化を簡単に振り返ってみましょう。
第一波: 検索エンジン
ChatGPTにはじめて触れた時のことを覚えていますか? 「このポッドキャストのエピソードを要約してください」とか「この書き起こしからミーナのよい発言を見つけてください」といった直接的な質問をするだけで、数秒で答えが返ってきました。ChatGPTはオンデマンドの情報検索に優れ、迅速で焦点が絞られており、(当時としては)革新的なものでした。
第二波: ワークフロー実行者
次に登場したのが、構造化されたプロセスに従うことができるAIエージェントでした。テンプレートや資料、明確な手順を提供すれば、確実に実行してくれます。たとえば、AIエージェントは複数のポッドキャストのエピソードを分析して3つの重要なポイントを抽出し、指定されたガイドラインに従って回答をフォーマットできます。AIエージェントは手続きの専門家であり、定められた範囲内で高い能力を発揮します。
第三波: 戦略的推論者
ここでDeep Agentsが登場します。次のように依頼してみましょう。「これまでの取り組みと今後の目標に基づいて、このポッドキャストシリーズの新しいエピソードのアウトラインを作成してください。」 テンプレートは不要。ステップバイステップの手順書も必要ありません。ただ戦略的な目標があるだけです。Deep Agentsは結果から逆算して推論し、複数の情報源からコンテキストを統合し、優先順位とアプローチについて判断を下します。まるで戦略的パートナーのようにです。
AIは人間と同じようにリストを作成する
対照的に、人間としてこの課題にどう取り組むかについて、「まず過去のエピソードをすべて見直します。次に、好評だったトピックや、さらに話せる追加の話題があるか探します。そして、分析や統計を確認して、追加の特集トピックを考え出します」と、ミーナは説明します。
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明確な指示が与えられなくても、求められている結果に至るために必要な行動を考え出します。
Box 最高技術責任者(CTO) ベン・クス(Ben Kus)
つまり、ミーナの直感は、まずプロジェクトのToDoリストを作成し、プロセスを事前に定義することでした。それがまさにAIエージェントが行うことです。明確な指示が与えられなくても、求められている結果に至るために必要な行動を考え出します。
「現在のAIエージェントの最大の違いの一つは、ToDOリストを作成し、計画を立案し、考え、反復し、そしてあなたが望むものを与えるのが非常にうまくなっていることです。これは大きな進化です」と、ベンは言います。
検索エンジンから戦略的推論者へ
この進化は、生成AIの能力の単なる漸進的な向上にとどまりません。最新のAIエージェントは、「基本的な生成AIアプリやAIエージェントより時間はかかりますが、比較的高速で、非常に複雑な作業をこなせます」と、ベンは説明します。
ミーナが日々の現実について語った言葉は、その意味の深遠です。「一日に使える時間は限られています。そして、さまざまなタスクの期限は、多くの場合、交渉の余地がありません」
自律型AIエージェントの登場により、状況は一変します。ナレッジワーカーは単にAIツールを使うだけでなく、AIチームを管理するようになります。あるAIエージェントが新商品開発計画を策定し、別のAIエージェントが営業支援資料を作成し、さらに別のAIエージェントが競合他社のポジショニングを分析してくれます。人間であるあなたは、作業をするのではなく、作業を指揮することになります。
AIエージェントの管理術
ある意味で、AIエージェントの管理は人間のチーム管理と似ています。完璧な結果を出さないAIエージェントをどう扱うべきかというベンの質問に対するミーナの答えは、示唆に富んでいます。「どんな結果でも、たぶん私はレビューするでしょう。『ここはすばらしかったけど、ここは変えられる?』とアドバイスをするかもしれません」
エージェント型AIに、最初から完璧を求めるべきではありません。反復、フィードバック、そしてガイダンスが重要であり、これはすべての管理職がすでに持っているスキルです。「人間と同じように、時には自分の指示が間違っていたことに気づくこともあります」と、ベンは指摘します。
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エージェント型AIに、最初から完璧を求めるべきではありません。反復、フィードバック、そしてガイダンスが重要であり、これはすべての管理職がすでに持っているスキルです。
Box 最高技術責任者(CTO) ベン・クス(Ben Kus)
これらの新しいAIエージェントを最も効果的に活用しているユーザーは、AIエージェントと仕事をする際に、この反復的で協調的な思考様式を採用しています。たとえば、ソフトウェア開発では、プログラマがAIエージェントに詳細な手順を一つ一つ指示するのではなく、プログラム全体の構築や既存アプリケーションのリファクタリングを依頼したりしています。
開発者は、AIエージェントがどこに行き、何を変更すべきかを正確に指示するのではなく、望ましい結果のみを説明し、実装をAIエージェントに任せます。AIエージェントはタスクに完全な責任を持ち、自ら計画を立てて、コードを書き、テストし、失敗した場合はデバッグし、動作するまで繰り返し作業します。
結果はすぐには得られるものではありません。数分、あるいは数時間かかることもあります。開発者は複数のAIエージェントの管理者となり、AIエージェントが複雑な作業を並行して処理している間に、アウトプットをレビューし、ガイダンスを提供します。
なぜ今、 AIは飛躍的に進歩しているのか?
「私たちはこれまで、AIは賢くてあらゆることができると思っていました。それなのに、なぜうまく機能しなかったのでしょうか?」と、ミーナは問いかけます。
BabyAGIやAutoGPTのような初期の試作品は、コンセプトは正しかったものの、機能が欠けていました。AIモデルはまだ十分な性能を備えていませんでした。コンテキストに圧倒されたり、複雑な作業に行き詰まったり、奇妙な結果を出したりすることがありました。
何が変わったのか? 今日のAIモデルは「考える」ことができます。
「AIエージェントは、最初から多くのことを考えます。指示されたことをただ実行するだけではありません」と、ベンは説明します。AIエージェントは経験豊富な専門家のように、計画を立て、アプローチを繰り返し、作業を確認し、調整します。
ナレッジワーカーの現実
さぁ、準備はできてますか? たとえば、マーケティング部門の小さなタスクにAIを使ってみてはいかがでしょうか。
- 既存のコンテンツを基にソーシャルメディアの投稿を作成する
- 関連資料から製品紹介資料を作成する
- パフォーマンスレポートとインサイトを生成する
ただ、新製品の徹底的かつ連携された多面的な販売戦略の策定のようなより複雑なものは、AIには荷が重すぎると思うかもしれません。こうしたプロジェクトには、多くの資料、調査、ステークホルダー、作業フロー、そしてブランドポジショニングに関する高度な知識が求められます。
しかし、まさにこうした複雑なプロジェクトこそ、自律型AIエージェントが対応できるものです。ロードマップ、市場調査、顧客フィードバック、ブランドガイドラインへのアクセスを提供しましょう。自分が望む結果を伝え、 手順はAIに任せましょう。
単純なAIツールから自律型AIへの移行を受け入れる
単純なAIツールから自律型AIエージェントへの移行には、マインドセットの転換が必要です。「AIは私に何をしてくれるのか?」ではなく、「賢く有能なチームメンバーに何を任せられるだろうか?」と自問すべきです。
その答えは、あなたを驚かせるかもしれません。先延ばしにしていた新商品企画、競合分析、業務プロセスの文書化でしょうか? 人間にしかできない戦略的な意思決定に集中している間に、自律型AIエージェントが今まさにそれらの作業に取り組んでいるかもしれません。
企業がこの移行を推し進める中で、勝利を収めるのは、この進化に抵抗する者ではありません。AIエージェントの管理は、知的労働の新たな進化に過ぎないと認識した企業こそが勝利を収めるでしょう。人間の創造性、判断力、戦略的思考が依然として代え難いものですが、AIエージェントの実行力は飛躍的に向上する可能性があります。
AIエージェントはどんなことができるのか?あなたはずっと疑問に思っていたことでしょう。おそらく、あなたが思っているよりも多くのことができるはずです。
AI Explainerのエピソード「次世代のAI自動化(The next gen of AI automation)」の全編を視聴して、AIエージェントが「自律的」であることの意味と、インテリジェントワークフローを構築する企業にとって何を意味するのかを詳しく学びましょう。
※このブログは Box, Inc 公式ブログ(https://blog.box.com/)2025年11月24日付投稿の翻訳です。
原文リンク: https://blog.box.com/how-ai-agents-are-evolving-following-instructions-figuring-it-out
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