社内外とのコラボレーションが必須の今の時代、社内だけではなく社外の業務関係者ともファイルを共有しないと業務は進みません。手軽さもあってメールの添付ファイルで情報共有している人も多いでしょう。しかし、メールには送れるファイルのサイズに限界があります。メール添付では共有できないような大容量のデータを送信する場合には、ファイル転送サービスも利用されています。ただし、ファイル転送サービスにはいくつかの課題があります。そこで、企業がパブリックのファイル転送サービスを使うべきでない理由を説明し、これに代替できるソリューションについて解説していきます。
ファイル転送サービスとは
ファイル転送サービスは、ファイルの送受信が手軽にできるサービスです。容量の大きなファイルでも簡単に送れるため、メール添付ではデータを送ることができない場合などに活躍します。
基本的にはファイルを送信する側が特定のサイトにデータをアップロードし、受信側が当該サイトにてダウンロードを行うかたちで利用されます。
このサービスを利用することによって、従来のように記憶媒体にデータを入れて物理的に情報を渡すといった共有方法をとる必要はなくなり、また、データの大きさを気にする必要もなくなります。もちろん、送れる容量の上限値は存在するものの、メール等へ添付する場合に比べるとかなり大きなものでも問題なく送信できます。
ファイル転送サービスの課題
情報共有にはファイル転送サービスが役立ちますが、次のような課題も抱えているため企業での利用時には注意が必要です。具体的にどのような問題があるのか見ていきましょう。
自社でセキュリティコントロールができない
課題のひとつが、セキュリティ管理ができないということです。
利用サービスや利用の仕方に配慮することでセキュリティリスクを下げることはできますが、そのシステムのセキュリティコントロールをすることはできません。セキュリティ対策に関しては、当該サービスの運営会社に全て任せることになります。
他の利用者とサーバーを共有するため、自社の利用形態に合わせてカスタマイズをすることなどもできません。高水準のセキュリティを求めていても、サービスの規定どおりのセキュリティしか行われないのです。
情報漏えいのリスクがある
ファイル転送サービスでは、一時的に、送信するデータをインターネット上にアップロードすることになるため、その際情報が漏えいしてしまう可能性があります。
第三者に情報を盗み見られる可能性もありますし、管理者や利用者のヒューマンエラーによって漏れてしまうこともありえるのです。そのため、ファイル転送サービスは、必ずしも安全であるとは言えません。パスワードをかけることで防げるものもありますが、悪意ある者が攻撃をしかけ、強引に盗み取れられることもあります。
そして情報漏えいは、その情報の提供者である個人や法人に被害を与えるだけでなく、情報を管理していた企業に対しても大きな損害を生じさせるものです。損害賠償等の直接的なダメージのほか、世間からの信用も失ってしまいます。そうするとその後の企業活動に甚大な影響を及ぼしますので、情報の管理には慎重にならなくてはなりません。
ファイル転送の利用履歴を自社で管理できない
ファイルの転送に限らず、過去の行動が確認できるということは情報ガバナンスを代表として様々な観点から重要です。例えば情報漏えいが発生した際には、その直前の履歴を確認することで発生源を特定できることがあります。誰が、いつ、どのように利用したのかが分かれば事後対策もとりやすいでしょう。
また、業務効率を上げるという点でも重要です。現在、どこまで情報共有ができているのか、どのファイルを送っていてどのファイルは送れていないのか、誰がいつアクセスしたのか等々、これらが把握できると後続の業務が円滑に進められます。
しかしながらファイル転送サービスではその仕組み上、利用履歴(ログ)を見ることができないため、過去の情報を参考にできません。気軽に使えて便利な反面、本格的に業務の中で継続して使う場合には不安が残ります。
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クラウドストレージの利用でファイル共有をもっと安全に
このように、ファイル転送サービスには手軽に使える反面、企業利用としてはデメリットも存在します。より安全にデータのやり取りをしたいのであれば、ニューノーマルでのファイル共有にあった企業向けのクラウドストレージの利用を検討しましょう。
以下ではクラウドストレージの概要とメリットについて解説します。
クラウドストレージとは
クラウドストレージとは、インターネット上に設けられたデータを格納するためのスペースです。ファイル転送サービスと似た用途で使用されますが、クラウドストレージの場合、本来は「ファイルの送受信」ではなく、「ファイル保管の場」を提供するサービスです。クラウドストレージにファイルを置くことで、パソコンや自社サーバーのデータ容量などは気にする必要がなくなります。
管理者が許可した相手のみ、同じクラウドストレージにアクセスして、中のファイルを見られるので、より柔軟にファイル共有ができるようになるでしょう。
サービスによっては、その場を自社に適したかたちにカスタイマイズすることも可能です。
クラウドストレージのメリット
また、単にファイルを置くだけではない高機能のクラウドストレージを使えば、クラウド上でファイルの編集も行えます。同時に複数人が作業することも可能です。これは単なるファイル転送サービスではできないことです。
しかもファイルごとに送受信を行うのではなく、社内の全ファイルやフォルダを一元管理できるため、共有の必要が生じるたびに別途作業を行う必要もなくなります。より高い業務効率が実現されるでしょう。
他にも、セキュリティレベルや情報ガバナンスの強化ができるというメリットもあります。自社サーバーで情報を管理する場合と似た運用ができますし、その上で環境整備における初期投資も少なくて済むというメリットもあります。管理者の負担が軽減され、別の効率化やDX、セキュリティ向上の業務に専念できるようになるでしょう。
もちろん、クラウドストレージであってもセキュリティ面に一切の問題がないわけではありませんが、用途や要件に合ったサービスを選べば、ファイル転送サービスに比べてはるかに安心して情報共有が図れるようになります。
サーバーを管理する人の負担も軽減され、常に最新の機能が使えるなど、業務効率およびコスト面においても優れたサービスです。これらの利点をより活かすためには、複数のサービスのなかから自社に適したサービスを選定するとよいでしょう。
まとめ
ファイル転送サービスは便利ですが、セキュリティ上の問題と、情報ガバナンスや管理面での課題を抱えています。そこで、今後はそのような課題をクリアできる高機能クラウドストレージによる代替をおすすめします。ファイル転送サービスが抱える課題を解決した上で、ファイル転送サービスではフォローできない分野での利用も可能です。
ただしクラウドストレージもサービスによっては使い勝手が良くなかったり、自社の求めるセキュリティ要件を満たしていなかったりということもあります。そこでおすすめなのが企業向けクラウドストレージサービスの「Box」です。革新的なセキュリティ機能を備えるとともに、他のクラウドサービスとの親和性も高いという特徴があります。規模や業界を問わず多くの企業で導入実績を持つほか、政府機関や銀行、証券会社など高いセキュリティが求められる場合でも利用されています。
従来の情報共有やり方に不安を抱えている場合でも、Boxを使えば安心してファイル共有ができるようになるでしょう。ぜひ導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
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