ビジネスコミュニケーションツールの基本であるメール。いまではチャットツールやWeb会議などによるコミュニケーションも増えていますが、企業においてメールが不要になったわけではありません。取引先とのやり取りでは、やはりメールの方が正式なコミュニケーションという認識がまだまだ強いことも事実です。
このブログで取り上げるのは、そのようなメールを「誤送信してしまったらどうなるのか?」です。また、メール誤送信によって会社の機密情報や個人情報を第三者に送信してしまった情報漏えい事件をニュースで見かけることも多いですが、これを防ぐ方法はないのか?その点も詳しく解説します。
メールを誤送信してしまう理由
「人間だからちょっとしたミスは起こるもの」。人はコンピューターではないので、その日のコンディションやその時の状況によってミスを起こすことがあります。確かにちょっとしたミスなら許されることも多いかもしれません。しかし、メール誤送信に関しては少し別の話となります。
メール誤送信の理由は、大きく分けると「送信先の間違い」「送信内容の間違い」「セキュリティポリシーの違反」の3つと言われています。では、それぞれをみてみましょう。
1. 送信先の間違い
メール誤送信の理由として最も多いのが、本来の送信相手とは違う人を宛先に入れてしまい、メールを送信するパターンです。こうしたミスはアドレス帳に登録している連絡先が多いほど起きやすくなります。ほとんどのメールソフトには、宛先欄に名前やメールアドレスの一部を入力すると、候補を表示する便利な機能があります。しかし、候補をよく確認せず宛先を選択すると、誤送信になる可能性があります。
また、複数人に同じ内容のメールを一斉送信する際は、宛先をBCCで指定します。ところがBCCではなく、間違えて宛先をCCに指定してしまうと、宛先に含まれている人すべてのメールアドレスが共有されてしまいます。
こうした送信先の間違いはちょっとした不注意で起こるものなので、実は最も警戒が必要なポイントです。
2. 送信内容の間違い
これは、送信先となる相手は間違っていなかったものの、メールの内容に不備があった場合を指します。たとえばA社とのやり取りで使ったメール内容をコピー&ペーストして、B社に類似した内容を送信するというケースがあります。この際に、A社に関する情報が含まれたままB社にメールを送信してしまうと、メール誤送信としてトラブルに発展します。
また、誤って送信する予定のないファイルを添付してしまい、そのままメールを送信してしまった、というケースも少なくありません。
3. セキュリティポリシーの違反
会社によってはセキュリティポリシーにより、メール送信時のルールが定められている場合があります。たとえば、添付ファイルはメールでの送信時に必ず暗号化する、機密情報などが記載された重要ファイルに関してはメール送信前に上司の確認を取る、などのルールです。
これらのセキュリティポリシーに違反してしまうと、メール誤送信のリスクが高まり後々に大きなトラブルに発展する可能性があります。
メール誤送信で想定されるトラブル
今まで仕事をする中で、メールを誤送信してしまったという経験がある方は少なくないでしょう。メール誤送信は誰でも起こしやすいミスと言えます。にもかかわらず、たった1度の誤送信が自分のキャリアにキズを付けることや企業の信用に関わるケースもあるため、メールを送信する時には最大限の注意が必要です。
では、メールを誤送信してしまうとどのようなトラブルが発生するのでしょうか?
第一に考えられるのが「機密情報漏えい」です。インターネットやWebサイトの発展、スマートフォンの普及、さらに一つのプロジェクトを社内だけではなく、社外の関係者も含めて行うことが増えたことによって、昔よりもプロジェクトの企画や進捗、顧客情報などの機密情報を社内外にわたって取り扱う機会が多くなっています。社内や取引先とのやり取りで、個人情報などの機密情報が記載された重要ファイルを送受信することもあります。その中でメールを誤送信してしまい、例えば重要ファイルを第三者に送信してしまったら、その時点で個人情報漏えい事故として対応しなくてはならないことになります。
また、個人情報だけでなく外部に漏らしてはならない会社に機密情報が漏えいする可能性も考えられます。誤送信先からさらに他へ転送されないとも限りません。もし、それが新事業や新製品に関する情報ならば、会社は大損害を被ることになるでしょう。
そして、これらのミスが「訴訟問題」に発展するケースも少なくありません。過去にはメール誤送信によって情報漏えいが起き、被害者が裁判を起こしたという事例も何件も起きています。
このように、メール誤送信が1度でも起きれば多くのトラブルが発生し、会社のビジネスそのものや信用を危険に晒すことになります。誤送信を起こした従業員は場合によっては解雇になるので、メール誤送信によってハッピーになる人など誰もいないのです。
メール誤送信の対策
メール誤送信のリスクは日常的に潜んでいますし、実際に誤送信が起きた時のトラブルは想定以上に大きくなります。しかし悲観的になることはありません。原因が人為的ミスということが分かっているのですから、対策を立てるのはそう難しくないのでしょう。では、どのようにメール誤送信対策を打てばよいでしょうか?
補完機能をオフにする
宛先を入力する際の補完機能は大変便利ですが、ちょっとした不注意によってメール誤送信が起きやすくなります。それならば、多少の手間はありますが保管機能をオフにして、アドレス帳から宛先を入力するような習慣を付ければ誤送信リスクは下がるでしょう。
アドレス帳の登録ルールを固定する
アドレス帳をすべてローマ字で登録している方も多いと思います。しかし、普段からローマ字を見慣れていない日本人は誤認する可能性が高くなるので、漢字での登録をおすすめします。また、表示の際に会社名も同時に表示されるようにすればメール誤送信のリスクを下がられます。
<誤認しやすい一例>
Taro Takada
Taro Tanaka
<改善後>
高田 太郎(株式会社高田)
田中 太郎(田中商事)
アドレス帳を社内と社外に分ける
アドレス帳を社内用と社外用に分けるだけで、メール誤送信のリスクが下がります。多少の手間はありますが、メールを誤送信してしまったときのトラブルに比べればなんてことはありません。
抜本的な解決策はメール添付を禁止すること
上記でご紹介したメール誤送信の対策は、情報漏えいに対する解決策の1つに過ぎません。さらにメール誤送信による情報漏えいを防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。多くの場合、セキュリティインシデントが発生するメールの誤送信は、メール添付で機密情報が漏えいすることにあります。
そのためファイル添付をなくせば、機密情報漏えいを防ぐことが可能になります。
具体的には、従業員が作成するE-mailのファイル添付を廃止し、ファイルはクラウドストレージに格納します。受信者にはファイルがある場所を示す、適切なアクセス権限を設定したURLを送信します。これにより、もし誤送信したとしても、メール受信者にはそのファイルのアクセス権が無いので、情報が漏えいすることはありません。よって、セキュアでシンプルな情報共有と一元管理が可能になります。例えば、クラウドストレージの機能を持つBoxを利用し、ファイルを従業員自身のPCへ個人保管させなくすることで万が一PCを紛失しても情報が漏えいすることがなく、上述のように誤送信が発生した場合でも、部外者によるデータ参照をコントロールすることができるのです。
メール誤送信対策は「手間を取る」こと、そして、クラウドストレージを利用すること
メール誤送信を起こさないために1番大切なことは、細かい作業を面倒と思わずに手間を取り、先々のトラブルに発展しないように努めることです。対策を実施するとメール送信時に多少の手間はかかりますが、それ以上にメール誤送信や誤送信による情報漏えいを起こさないことに意味があります。企業としてはクラウドストレージを採用することで社員の誤送信によるリスクを大幅に低減させることが可能になり、企業も従業員も守れるのです。
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