リモートワークやテレワークの浸透、プライベートでもチャットが使われるようになったことにより、多くの企業においてもビジネスチャットがコミュニケーションツールとして積極導入されてきています。しかしその一方で、メール同様にチャットツールにも情報漏えいを始めとした様々なリスクもあり、利用の際には注意が必要となります。そこで、チャットツールが抱える各種の課題について取り上げ、その解決法についても合わせて解説していきます。
ビジネスチャットの課題
ビジネスチャットの登場により、コミュニケーションのリアルタイム化、円滑化や業務効率化が大きく進みました。一方で、その便利なチャットにも課題は残されています。チャットツールのメリット・デメリットを十分に理解した上で活用していくことが、効果的な利用の第一歩です。
チャットツールの運用における具体的な課題を挙げると、「コミュニケーションの質が異なる」「超過労働になりやすい」「チャットでもファイル添付は情報漏えいリスクがある」という点が主に挙げられます。ここでは、それぞれの課題について詳しく解説します。
コミュニケーションの質が異なる
チャットツールを導入する際の一つ目の課題として、「コミュニケーションの質が異なること」が挙げられます。これには良い面と悪い面がありますが、悪い面に作用すると少々問題になる可能性があります。
たとえば、メールとは異なり短いテキストでのやりとりが増えることもあり、文字のみでのコミュニケーションにより、関係がよりドライになってしまう可能性や、相手の感情が読み取りにくいため、受けた印象の誤解からトラブルに発展してしまう可能性が考えられます。チャットはログとして残るため、なかなか言いたいことが言えない、逆に気軽にスマホ等でもコミュニケーションができると好む社員もいるかもしれません。
チャットツールの活用は、メールなどと比較してスピーディでリアルタイムな連絡が可能となるメリットがある反面、こうした受ける印象の問題も内包しています。チャットツールに限らず、あらゆるツールの導入にはメリット・デメリットがあるため、よく吟味し導入、そして使い方をする必要があるのです。
超過労働になりやすい
チャットツールを導入する際の二つ目の課題として、「超過労働になりやすいこと」が挙げられます。チャットツールは気軽に連絡が取り合えるという特徴から、オンタイムとオフタイムの仕分けがしにくい点が問題です。業務時間が終わったあとでも何かしらの連絡が入ったり、スケジュールが進行したりして、こまごまとした業務が延々と続いてしまう可能性があります。
こうした状態が続くと、超過労働が発生しやすくなります。業務時間が終了し、オフタイムになったら稼働を停止するなどして対策する必要があるでしょう。また、ズルズルと連絡を取り続けたり、業務中にチャットが鳴ったりすることは生産性の低下にも繋がります。
チャットツール内の添付ファイルは情報漏えいリスクがある
ビジネスでチャットツールを導入する際の三つ目の課題として、「情報漏えいのリスクがある」ことが挙げられます。チャットツールでもメールと同様、ドラッグ&ドロップで簡単にファイル添付し、送信とファイル共有ができる一方で、使い方によっては簡単に情報が漏えいしてしまいます。社外の人への漏えいはもちろん、社内の人でも人事情報などについては漏えいすると問題となります。これはメールと何も変わりません。メールにファイルを添付して送り、共有するのとツールが異なるだけなのです。
こうした状況にならないように、ファイルはできるだけ複製しないようにする、ファイルの共有方法について社内で共通認識を持っておく、チャットツールにおける閲覧者を管理する、などの対策を行いましょう。
情報漏えいの状況やファイルの内容によっては企業の信用を大きく損なう可能性もあるため、ファイル管理には徹底的に取り組む必要があります。特に管理権限に関しては厳格に定め、管理者以外の人は見られないよう設定しましょう。
チャットツールの課題を解決するためのポイント
ここまでは、チャットツールを利用する際の課題について解説してきました。ではチャットツールを活用しつつ、諸課題を解決する方法はないのでしょうか。完全にゼロにすることは難しいですが、チャットツール利用の効果・メリットをスタッフに伝えたり、チャット利用時間のルールを取り決めたり、クラウドストレージを活用するなどの解決策が考えられます。それでは、それぞれについて詳しく解説します。
チャットツール利用の効果・メリットをスタッフに伝える
チャットツールの一つ目の課題を解決するポイントとして、「チャットツール利用におけるメリットや効果を共有すること」が挙げられます。新しいものが取り入れられると、反射的に拒否反応を示す人も少なくありません。そうした方に理解してもらうために、利用の効果やメリットを十分に伝えるのです。
コミュニケーションの最適化や業務効率の向上などはもちろん、細かいメリットも伝えることで共感を得やすくなります。ツールの導入を決めるのは責任者ですが、実際に活用するのは現場の人間です。頭ごなしに「使ってくれ」と言っても、なかなか社内に浸透させることは難しいといえるでしょう。十分に理解を深め、可能であれば事前シミュレーションなども行うことで、スムーズに導入が進められます。
チャット利用時間のルールを取り決める
チャットツールの課題の二つ目を解決するポイントとして、「チャットツールの利用時間におけるルールを取り決めること」が挙げられます。前述のとおり、チャットツールは気軽に連絡が取れるため、業務時間を過ぎてもズルズルと仕事が続いてしまう傾向があります。こうした状態を放置しておくと、超過労働になったり、健康被害をもたらしたりと、様々なデメリットにつながります。
対策としては少々強引ではありますが、集中したいときには通知を切ったり、シャットダウンしたりしてチャットツールから離れることも必要です。また、このような運用方法をルールとして定めることも重要です。事前に「チャットは業務時間だけ」というルールにしておけば、業務時間外にきたチャットに対応する負担は軽減され、送る側も返信を過度に期待しなくなります。
緊急性の低い内容であれば、「返信は明日でも大丈夫です」と付け加えることでも対応できるでしょう。このように利用時間や利用方法について一定のルールやマナーを定めることは、労働環境の安定に不可欠です。
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クラウドストレージを活用する
チャットツールの課題の三つ目を解決するポイントとして、「クラウドストレージを効果的に活用すること」が挙げられます。クラウドストレージとは、各種ファイルをインターネット上に格納するためのスペースのことで、オンラインストレージとも呼ばれます。チャットツールを安全に効果的に活用するためには、クラウドストレージの利用が不可欠です。
チャットツールを利用する際の課題の項目で、「情報漏えいリスク」を挙げました。チャットツールでアップロードや送信されたファイルは、意図しない人まで閲覧できるため情報漏えいのリスクがあります。ただ、これらの問題もクラウドストレージを活用することで解決します。
共有するファイルそのものではなく、ファイルはクラウドストレージにアップし、そのファイルに事前に権限を設定したリンクを送付することで、アクセス権限のある人だけがファイルを開くことができます。またクラウドストレージ自体も最新のセキュリティ環境の中で運用されているため、外部からの侵入にも対応しています。情報漏えいを含む、各種セキュリティを強固にするためには、クラウドストレージの導入も検討する必要があるのです。
クラウドストレージ「Box」を活用すると安全なファイル共有が可能に
具体的なクラウドストレージツールとしては、企業向けのクラウドストレージ「Box」がおすすめです。特徴は、何といってもユーザー権限の豊富さです。所有者や編集者、ビューア(見るだけ)など、職位に応じて様々な権限設定が可能なため、編集されては困るが閲覧させる必要があるなどのケースにも対応できます。
また、Boxはこれまでに目立ったセキュリティインシデントを起こしていません。ユーザー情報の管理において、信頼できる高いセキュリティ体制を有しています。チャットツールとして代表的な「Microsoft Teams」や「Slack」とも連携可能なため、安心してファイル共有が可能となるのです。昨今、ビジネスチャットやメール、TeamsやZoomといったビデオ会議にもチャットといったコミュニケーションツールが付いており、これらでファイルを添付して送るとその数だけコピーもできてしまい、そしてセキュリティ管理が煩雑になります。
どのコミュニケーションツールを使うにしても、ファイルをBoxに置き、その共有リンクを送れば複製もされず、セキュリティも一元管理できるのです。
まとめ
テレワークやリモートワークの普及に伴い、多くの企業において色々なコミュニケーションツールが使われるようになっています。その1つとしてチャットツールの導入も進んでいます。手軽にコミュニケーションが取れるメリットがある一方で、情報漏えいをはじめとしたセキュリティリスクも忘れてはなりません。コミュニケーションとそれを支えるツールが多岐にわたるほど、ファイルは集約管理することが効率的です。クラウドストレージを活用するなど十分な対策を講じることで、チャットツールのメリットを最大限享受することができるといえるでしょう。
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